プロフィール
プチ鹿島(ぷちかしま)
1970年5月23日生まれ。血液型O。時事ネタを得意とする。東スポ歴は中学から30年。TBSラジオ「東京ポッド許可局」、同局「荒川強啓デイ・キャッチ!」(月・水)、YBSラジオ「プチ鹿島の火曜キックス」、NHKラジオ第1「午後のまりやーじゅ」に出演中。著書には「教養としてのプロレス」(双葉新書)。




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不思議なリアルさを体感できるイーストウッド監督の新作映画
2018年03月08日

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今週の月曜日。出演している「荒川強啓デイ・キャッチ!」(TBSラジオ)の出番が通常より10分ほど早かった。スタジオから出たのが16時40分。

あれ、夜に予定あるけど「これから映画に行けるんじゃないか?」
調べてみると観たい映画の最もはやい上映時間は新宿で17時10分。本編は17時20分頃からだという。
さっそく赤坂発16時49分の電車を目指した。新宿に着いたのは17時09分。このあと小走り。雨で蒸していたので汗ばんできた。

それでもダッシュで映画館に向かい、チケットを買って席に着いたら17時17分。すごい、ちゃんと間に合ったぞ!こうしてクリント・イーストウッド監督の最新作『15時17分、パリ行き』が始まった。

事前に知っていた情報は、
《2015年に起きたパリ行きの特急列車内で554人の乗客全員をターゲットにした無差別テロ襲撃事件。極限の恐怖と緊張感の中、武装した犯人に立ち向かったのは、ヨーロッパを旅行中だった3人の心優しき若者たちだった。》(公式HP)というものである。

思ってたのとちがったのは、緊迫した特急列車内の攻防がメインかと思ったら、映画は若者3人の子供のころのシーンから始まったこと。それぞれ普通の若者だった。軍隊に入るも希望の部隊にいけず、でもその場所で日々頑張っていたり。

3人はヨーロッパ旅行をすることになった。

ローマで観光するくだりが描かれる。ジェラートを味わったり、インスタ用に写真を撮ったり。旅行風景をみる観客。彼らはアムステルダムでもご機嫌に過ごして「15時17分、パリ行き」の特急に乗る。そこで「ようやく」テロリストに遭遇するのだ。

まるで彼らの旅行の再現VTRなのである。それまでの人生の「再現V」と言ってもいい。驚いたのは3人の若者は俳優ではなく事件の当事者なのだという。つまり本当に再現していたのだ。

パンフを開いたら「現実そのままの巧まない仕種、つまり写実ということが映画演技の基本である」という小津安二郎の記述を引用して「現実そのものの再構成」というイーストウッドの実験について書かれていた(川口敦子・映画批評家)。

はぁ〜なるほど。

大仰な演出はなくとも、本人しか知り得ない事実を忠実に再現することで迫力と緊迫感は出てくるという理屈。

たしかに私が「赤坂発16時49分」の電車に乗って映画館に間に合った過程を再現するなら、私がいちばん適しているだろう。赤坂駅のあの場所では小走りで、新宿駅を出たあの場所では汗をふきながら、というディテールは私がいちばん知っている。

そう考えると、映画の前半から旅行(そして半生の)振り返りが淡々と描かれているのも理解できた。ローマでおいしそうなジェラート屋に出会うのも、車内でテロリストに出くわすのも、日常の次の瞬間という意味ではまったく同じなのだ。

それは観客も同じ。みんな「次の瞬間」を知らないで過ごしている。場合によってはそれまでの人生でやってきたことが集約して試されるのが「次の瞬間」かもしれない。だからこの映画では不思議なリアルさを体感できるのだ。

そんなことを考えさせてくれた、「16時49分、新宿行き」からの『15時17分、パリ行き』でした。



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