先日こんなニュースがあった。
『箸墓古墳隣接の「池の水抜く」放送中止 地元が協力断る』(朝日新聞デジタル12月1日)
テレビ東京の人気番組「池の水ぜんぶ抜く大作戦」が正月特番の告知をしたら、地元自治体から「待った」がかかったという話。
地元としてはあくまで池の掃除が主体であり、「出るのはお宝か、それとも未知なる生物か」「約1700年前のお宝が眠る!?」という番組告知に違和感を持ったようだ。
もともとこの番組は「危険生物に悩まされる近隣住民のSOSに出動!外来種が大量発生し困っている池の水を全部抜き、そこには何が潜んでいるのかを大調査!」(番組HP)と言うように、地元の依頼を受けて出動する。
今回は《放送後、奈良県を通じて文化庁から市に問い合わせがあったり、市の教育委員から「宝探しのような企画に協力するのはどうか」との声が寄せられたりした。》(朝日・同)というから、人気番組となって「お上」も含めていろんな人が見てた証拠とも言える。
それにしても「池の水ぜんぶ抜く」って単純でいいなぁ。「そういえばどうなんるんだろ」と興味を持って絶対見たくなっちゃう。
その昔テリー伊藤さんが「たこ八郎に、東大生の血液を輸血して頭が良くなるか」という伝説の企画をやったのもテレビ東京だった。最近そのフットワークの軽さがあらためて称賛されているが、テレ東イズムは基本変わっていないとも言える。
あと、見方や切り口を変えればエンタメになるというのも教えてくれる。
「池の水ぜんぶ抜く」はそもそも「かいぼり」と呼ばれる。池の水を抜き、池底を天日干しすることは以前からおこなわれてきた。
《池干しとも呼ばれ、もともとは農業用ため池の設備の保全や泥の排出を目的に行われていた。最近、外来魚駆除など環境保護を目的として行われる例が、関東などの都市部で増えている。》(朝日新聞11月23日)
こうした作業が、生きた魚を間近で見たことのない子供にはワクワク体験となっている側面もあるという。
だったらもっと楽しくさせてしまえ。スタッフのそんな気概がみえる。
「一体何が出てくるのか!?」という煽りは子供だけでなく「川口浩探検隊」(水曜スペシャル)で未知の生物探検を見せられた世代もワクワクしてしまう(そういえば「池の水〜」でアリゲーターガーを探す的場浩司は川口隊長に見えた)。
しかも煽るだけ煽って結果はよくわからないという「過程」だけを楽しませる過去の手法とは違い、視聴者は確実に「結果」も見ることができる。以前からある「かいぼり」という作業がこんなにもエンタメに変身するのである。
人気になりすぎて今後もいろいろあるだろうけど、正月特番が楽しみです。