2020年東京五輪で金メダルを目指す侍ジャパンが4日(京セラ)、オーストラリア代表を6―0で下し、強化試合2連勝を飾った。今回の招集メンバーで打線の中核を担ったのが3番・柳田悠岐外野手(29=ソフトバンク)と4番・筒香嘉智外野手(26=DeNA)で、とりわけ3年ぶりの代表復帰で燃えていたのが、鷹の大砲だ。稲葉ジャパンのキーマンが「日の丸への思い」と「金メダルへの青写真」を明かした。

 前夜に続いて、日本の中軸には柳田と筒香の名が並んだ。この日はともに無安打に終わったが、稲葉ジャパンの中核としての立ち位置は今後も変わらない。

 今回の強化試合で最も観衆を沸かせたのが、柳田の豪快なフルスイングだった。2015年の「プレミア12」は左足の故障、17年の「WBC」は右ヒジ痛のため出場辞退。くしくも日本はその間、国際主要大会で覇権奪回に失敗している。それだけに、3年ぶりの代表復帰には大きな期待が寄せられている。

 柳田は「東京五輪で金メダルを取りたい。それが今のモチベーションの一つ」と言う。柳田には2つの野望があった。一つは「五輪出場」で、もう一つは「メジャーへの早期挑戦」。だが、後者の思いは封印した。

 柳田は今オフ、球団と3年総額15億円プラス出来高(推定)の複数年契約を締結。ソフトバンクはポスティングでのメジャー挑戦を認めておらず、現状は海外FA権を行使するしかメジャーへの道はない。柳田が最短で海外FA権を取得するのは2020年。「メジャーに行っていたら東京五輪には出られなかったと思う。そう思うと2つともかなえられる可能性が出てきた」と語る。

 メジャー球団が五輪への選手供出に消極的なことを考慮すれば、本人の言葉どおり。「運命だったかも」という五輪出場にギータは燃えている。

 ただ五輪に出るだけでは満足しない。柳田にはこんな青写真がある。

「最強打線」を結成しての金メダル獲得だ。「よく僕は『何番でもいい』って言ってますけど、実を言うと2番を打ちたいんです。代表の4番は筒香、山田(ヤクルト)で打ってもらって(笑い)。他にも若手も育っているし。僕は自分の中で『2番最強打者論』があるので、そこを打ってみたい」

 メジャーでは主流になりつつある強打者の2番起用。その前後を打つ打者も強打者ゆえに可能なオーダーだが、柳田は今のNPBの面々を考えれば、その布陣が可能だと思っている。

 確かに筒香、山田の他にも鈴木(広島)、吉田正(オリックス)ら楽しみなスラッガーがいる。守備の兼ね合いや日本の持ち味である「スモールベースボール」といかに融合させるかが重要だが…。

 柳田の「2番直訴」は稲葉監督に届くか。