侍ジャパン(U―24)が19日、東京ドームで行われた「アジアプロ野球チャンピオンシップ」の決勝戦で韓国に7―0と圧勝し、初優勝を飾った。稲葉篤紀監督(45)にとって初の大会制覇となったが、その一方では本番となる2020年の東京五輪を見据えた“2択の行方”にも注目が集まり始めている。

 初戴冠にも稲葉監督は表情を引き締め、試合後のインタビューでは「あくまでも目標は東京五輪の金メダルです」と力強く言い切った。

 その東京五輪まであと3年。指揮官は「(東京五輪まで)3年ありますけど、集まれる回数は決まっている。監督としてもっと勉強していいチームを作れるようにしていきたい」と自身の課題を口にしつつ、今後の代表選考については「ある程度3年後を見据えながら、軸になるであろうと思われる選手を選んでいこうと思う」と語った。

 では、稲葉監督が「軸に」と考えている選手とは誰なのか。代表関係者の中から「やはりあの選手なのではないか」と真っ先に名前が上がるのは、日本ハムの中田翔内野手(28)だという。

 稲葉監督と中田の師弟関係は有名で、稲葉監督が侍ジャパンの監督就任が決まると、中田が「僕にとってはすごく大きな存在。他の人たちよりも特別な気持ちがある。個人的にはうれしいです」とコメントを出したほど。稲葉監督も自身の現役引退セレモニーで、ファンに向け「中田翔のことをよろしく」とあえて名前を出したこともあった。

 だが、その一方で侍ジャパンを統括するNPBエンタープライズの中からは「やはり清宮君が今後順調に成長してくれれば、東京五輪は彼に是が非でも出てほしい」と、日本ハムがドラフト1位指名した清宮幸太郎内野手(18=早実)を推す声が数多くあり、今から「話題性抜群の清宮を外せば、スポンサーも含めて反発も強くなる」と、清宮中心の編成を稲葉監督に求めている。

 東京五輪に向け次の強化試合は来年3月3、4日に組まれているオーストラリア戦で、年齢制限のないフル代表だ。東京五輪を見据えるのなら、清宮をなるべく早い段階で代表に招集しておきたいところだが、果たしてどうなるか。

 ただ、日本ハムでの中田と清宮の一塁起用に注目が集まる一方、もし日本ハムが清宮育成を重視する方向にかじを切ったとしても、稲葉ジャパンでは指揮官の一存でその立場が逆転することもありそうだ。