昨季の沢村賞左腕が好投から逆転への流れを呼び込んだ。

 東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」は2日、決勝トーナメント・準々決勝(横浜)で米国と対戦。中日・大野雄大投手(32)が1点ビハインドの9回に6番手で今大会初登板を果たし、1イニングを無安打無失点に抑え、その後、延長10回の劇的な逆転サヨナラ勝ちにつなげた。

 先頭の2番・アルバレスにいきなり死球を与えたものの、冷静さを失うことはない。続いて通算12打数2安打で打率1割6分7厘とカモにしているDeNA・オースティンを初球フォークでボテボテの投ゴロ。捕球して素早く二塁への好フィールディングで併殺打に料理した。最後は青柳から3ラン、千賀から二塁打を放っている恐怖の4番・カサスを空振り三振に仕留めると、雄たけびを上げながら渾身のガッツポーズを繰り出してマウンドを降りた。

 念願の五輪での初登板は先発ではなく、中継ぎとなった。それでも「そこは臨機応変な感じでと言われているので。今日は初回からブルペンと言われていた。やっと3試合目にして初登板で、チームの勝利に貢献できてとてもうれしい。1戦目、2戦目、今日もチームのみんなが頑張っているのをずっと見ていた。何とか俺も力になりたいと思っていたので、9回をゼロに抑えられてすごくうれしい」と目を輝かせた。

 SNS上では「大野神雄大さん流石の沢村賞男」「大野雄大最強!!」「これまでのリリーフの中で一番いい感じ」「素晴らしいフィールディング!」などと〝大野雄大〟で盛り上がった。

 今後に向けて「あと2戦で勝って終わるのが一番いいと思うし、次戦も中継ぎでブルペンに入ると思うので、気合を入れて抑えられるよう準備していきたい」。東京五輪で悲願の金メダル獲得を目指す侍ジャパンだが、沢村賞左腕はリリーフとして貢献する覚悟だ。