油断は禁物だ。侍ジャパンと次戦(31日、横浜スタジアム)で激突するメキシコ代表といえば、母国出発直前に2人の代表選手がコロナ陽性となったばかりか、ここにきて〝SNS騒動〟で国内から猛バッシングを受けるなど、ゴタゴタが続いている。だが楽観視はできない。周辺からは、元オリックスで現レッドソックス傘下所属の同代表、ジョーイ・メネセス内野手(29)を「要注意人物」と指摘する声が上がっている。

 メキシコ代表のチーム内には、重苦しい空気が流れているようだ。先月6日、メキシコを東京五輪へと導いたファン・ガブリエル・カストロ監督が、報酬未払い問題などで同国野球連盟やメキシカン・リーグとの間にあつれきが生じた末に監督を突然解任された。

 本大会まで2か月を切っていたにもかかわらず、チームはメキシカン・リーグの球団でタクトを振っているベンジー・ギル新監督の体制へと移行せざるを得なくなった。

 さらに来日直前の19日には代表2選手が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判明。同日には代表に選出されていたロッテのレアードが急きょメンバーから外れるなど〝すったもんだ〟が続いている。

 最近では新たな〝SNS問題〟が発生。メキシコ代表メンバーと関係者の15人が、日本の選手村内でオリンピックリングのモニュメントをバックに記念撮影した写真をツイッターに投稿したのだが、その際に全員がメキシコ・ウインターリーグ「トマテロス・デ・クリアカン」のジャージを着用していたため「メヒコ(メキシコ)代表の意識が著しく欠如している」「観光気分で日本へ遊びに行っている」などと国内から激しい批判を浴びた。

 SNS上に掲載された写真は現在すべて削除されているものの、同国メディア「ELユニバーサル」などの報道によれば、今も逆風は沈静化していない模様だ。

「メキシコは〝自滅モード〟に陥っている」などととらえる向きもあるが、安心してしまうのは早計だろう。メジャー通算317本塁打を放ったエイドリアン・ゴンザレスや、同98本塁打のダニー・エスピノーサらの〝オールド・ネーム〟だけでなく、メキシコには日本が警戒すべき「要注意人物」も含まれている。それがメネセスだ。

 レッドソックス傘下2Aに所属。今季はここまで10本塁打、43打点、打率3割1厘をマークし、チームの主軸として活躍している。同チームのコミュニケーション・ディレクターであるクリス・キャメロン氏は「メネセスは近いうちにメジャー昇格を果たす逸材であり、東京五輪でも日本を含めた相手国を脅かす存在になるだろう」と不気味な予告を口にしている。

「オリックスと契約していた2年前、禁止薬物使用の陽性反応が出たことで契約を解除されたが、そもそも球団の期待値は高かった。東京五輪出場にも以前から強い意欲を見せており『日本でいいところを見せ、必ず汚名返上したい』と〝リベンジ〟の機会ととらえている。広角な打法とシュアな打撃が持ち味の中距離打者。一塁、外野の守備も柔軟にこなせる上に機敏で巧い。このメネセスについては侮らないほうがいい」(ア・リーグ極東スカウト)

 一寸先は闇の国際大会。ナメてかかると痛い目にあうことになりそうだ。