五輪初戦の好投で世間の評価も急上昇か。五輪初戦となった28日のドミニカ共和国戦(福島)を4―3の劇的逆転勝利で飾った侍ジャパン。先発の山本由伸(22=オリックス)は日の丸の重圧という「見えない敵」にも負けず、強力ドミニカ打線を6回2安打無失点(9奪三振)の好投を見せ〝お茶の間デビュー〟を果たした。

 この力投には稲葉監督も試合後「初戦という非常に難しい中で由伸がまずはしっかりと抑えてくれた」と絶賛。侍のエースとして五輪というひのき舞台で期待通りの投球を披露しただけに、米メジャーの球界関係者を含めた野球界での評価はうなぎのぼりだ。初戦の好投は近い将来メジャーを目指す山本にとってこれ以上ないアピールの場になったことは間違いない。だが、22歳の若武者は今回の力投でそれ以外にも「得たもの」もある。それが日本国内における一般的な「知名度」だ。

 山本は球界や野球ファンの間では誰もが知る日本を代表する投手の1人とはいえ、世間的な認知度はイマイチだろう。実際、普段野球を見ない中高年層や主婦層の間で「由伸」といえば、いまだに元巨人の高橋由伸氏の名を挙げる人が圧倒的に多い。現在の侍ジャパンのメンバーでも知名度の点で言えば「マー君」として世間に広くその名が知られる田中将大投手(32=楽天)が圧勝。野球ファン以外では山本の名は世間一般に浸透していなかった。

 だが、今回の初戦の好投でその状況は一変すると見られている。ドミニカ戦の試合開始は午後12時。中高年や主婦層が最もテレビを視聴する時間帯で、試合はNHK総合で全国放送された。そんな国内での知名度を上げる絶好機に山本はチームの勝利を導く最高の投球を披露。「非野球通」の心をわしづかみにした。

 しかも、山本は球界屈指のイケメンと知られる。今後は主婦層を中心に人気が高まることが予想されるため、世間一般の人気が急上昇する可能性が高まっているのだ。

 ある在京キー局のテレビ関係者も仙台で行われた侍ジャパン強化合宿中、こう漏らしていた。

「これまで由伸(山本)は巨人や阪神のような人気球団に所属していないこともあり世間一般にはあまり注目されてこなかった。でも野球の実力に加えあの爽やかな笑顔とルックスは間違いなく数字が取れますから。今大会の活躍次第ではテレビ界だけでなく、CM業界からもオファーが殺到するはず。端正なマスクは現在メジャーで活躍する大谷(翔平=エンゼルス)と互角とも言われるぐらいなので。あとは〝きっかけ待ち〟ですよ」

 現在、野球選手で国内知名度が高いのは大谷と田中将だが、今回の好投でその2人に肩を並べる潜在力を秘める山本。いろいろな意味で目が離せない。