野球日本代表・侍ジャパンが24日、楽天生命パークで強化試合を行い、楽天に3―5で逆転負けを喫した。

 2失点で敗戦投手となったのは、故障復帰から追加招集となった千賀滉大投手(28=ソフトバンク)だった。前回WBCで国際舞台での強さを見せた金メダルのキーマンは、今回の登板を踏まえて大会本番でベストの投球を見せるべく調整していくことを誓った。

 本番前最後の登板で不安を払拭することはできなかった。試合後、千賀は自らの意志で異例のブルペン入り。投球フォームのバランスを意識しながら40球を投げ込んだ。

 同点の7回から登板した。初球でこの日最速の159キロをマーク。2球目に投じた156キロ直球をディクソンに中前打、続く小郷の犠打で一死二塁とされたが、このイニングは後続を断った。しかし、8回に楽天打線につかまった。

 再び先頭打者の9番・山崎剛に右前打を浴びると、田中和の犠打で一死二塁とされた。オコエを一ゴロに打ち取り二死三塁。あと一死というところで村林、田中貴に連続四球で満塁のピンチを招き、ディクソンに中前へ2点タイムリーを浴び勝ち越しを許した。2回を投げ4安打2四球2失点の内容で敗戦投手となった。

 決して満足のいく投球ではなかった。それでも光も見えた。試合終了後にブルペンでの投球へと向かったのも収穫と課題がはっきりと分かっているからこそだ。

「不安があったり修正ができなくても(本番のマウンドでは)やらないといけないと思うし、その中でやれる術(すべ)というのが見えてきた部分も今日の中であった。そこをやっていくことと、まだ不安な部分へのアプローチもやっていきたいと思っている。そこさえクリアすればゴチャゴチャ考えずにすむようになる。みんなが帰った後でもやらなくてはいけないと思った」と思いを口にした。

 左足首じん帯損傷から復帰後、一軍登板は1試合のみ。そこでの投球も思うような結果ではなかった。それでも稲葉監督の思いを受けて東京五輪のマウンドに臨む以上、後ろを向くわけにはいかない。前回WBCでは世界の強打者をきりきり舞いにさせた。期待に応えるべく残りの時間で調整にベストを尽くす。

 金メダルのキーマンでもある右腕は「とにかくマウンドに上がってしっかりゼロに抑えることが、チームにとって大切なこと。そうできるように時間を使っていきたい」と力を込めた。