日の丸を背負う「扇の要」が存在感を見せた。東京五輪に臨む野球日本代表・侍ジャパンが24日、楽天と強化試合(楽天生命)を行い、本大会前の初陣で3―5と黒星スタート。それでも「8番・捕手」でスタメンマスクを被った甲斐拓也捕手(28=ソフトバンク)は先発マウンドの侍エース・山本(オリックス)を好リードし、打撃でマルチ安打をマークするなど光彩を放った。

 試合後は「1試合やってみて、いろいろなところが見えてきた。試合の中で気付けるもの、バッテリーの中でも気付けるものはたくさんある。そういったものが今日できたというところ」と振り返り、汗を拭った。

 28日の初戦(福島・あづま=対ドミニカ共和国)で先発濃厚となっている山本とバッテリーを組み、2回1安打無失点と息ぴったりのコンビネーションを見せた。「本当に力のあるピッチャー。どの球種も投げ分けることができる。そういったイメージのまんまだったと思う。2人の中でもお互い、2イニングで課題を持っていこうと、やれることはやっていこうという話をできたので良かった」と述べ、確かな手ごたえをつかんだようだ。

 初回には二盗を試みた相手の俊足リードオフマン・小深田を〝甲斐キャノン〟で阻止。ただ五輪球(SSK社製)にはまだ完全に順応し切れていない様子で「もちろん、アウトになったのは良かったと思うが、ちょっと〝真っスラ〟した気がします。ボールにはちょっとした変化があるが、何日かしたら慣れていくと思う」とも語った。

 この日はバットでも3打数2安打。得点にこそ結びつかなかったものの6回までの出場の中、攻守の両面で躍動した。「稲葉監督がずっと言っている金メダルに向かって、しっかり全力を出し切っていきたい」と言葉に力を込め、闘志を燃やしていた。