内野唯一の〝新参者〟が侍ジャパン野手陣のキーマンか。世界一に輝いた2019年の「プレミア12」メンバーがズラリ顔をそろえた侍内野陣でただ一人、2年前の同大会未経験組からの東京五輪・野球日本代表選出となったのがヤクルト・村上宗隆(21)だ。

 前半戦リーグ2位の26本塁打、61打点の燕の4番を稲葉監督は「パワーはもちろん、試合での修正能力を含めて実力がついてきた。体つきも顔つきもプレースタイルも成長している」と絶賛。平良(西武)と並びチーム最年少で国際大会出場は初めてだが、侍ジャパン関係者は「何よりも打撃がウリだから(五輪では)打って流れに乗ってほしいし、彼が4番の鈴木誠(広島)の後ろにハマれば右(打者)、左(打者)も含めて、非常にバランスのいい打線になる」と4番の後ろを打つポイントゲッターとしての役割を任されそうだ。

 期待の大きさは内野陣で三塁を本職とする選手が村上のみの布陣となっていることからもうかがえる。もちろん、一塁や指名打者の選択肢もあるが「要は三塁のレギュラー。必ず、スタメンで行くということ。ケガだけはしてほしくない。一塁や指名打者は浅村や山田、指名打者なら吉田正とカバーする選手や選択肢はあるけど、村上に(故障やケガなど)万が一があった場合は(遊撃が本職の)源田を(三塁の)先発で使わざるを得なくなる」とも指摘する。

 先の「プレミア12」でも源田(西武)は中盤の守備・代走中心にいぶし銀の働きを見せた。同じく、同大会でオールマイティーな働きをこなした外崎(西武)がケガにより選出できなくなった以上、より「試合途中の多岐にわたる起用に応えられ、かつ高いパフォーマンスできる選手」というユーティリティープレーヤーとしての需要が高まっている。

「長打がある一方で四球も狙って取れる選球眼の高さは短期決戦では特に大事。それに体はでかいけど走力もあり、盗塁だってできる。先頭打者でのチャンスメークも任せられるし、終盤ギリギリまで代走とか、控えを切る必要もない。内外野で11人しか選べない。三塁は候補を決めるのが確かに難しかったけど、要は『スペシャル』ではなくとも、できることが多い選手をチョイスした」(前出関係者)

「プレミア12」で三塁を任されたソフトバンク・松田や前半戦27本塁打、80打点のセの二冠王・岡本和(巨人)を押しのけての〝村上単独指名〟は、ケガや故障への強さを見込んでの側面もあることに加え、状況に応じた打つこと以外の打席の能力や機敏性も決め手になったようだ。

 リーグ前半戦で出塁率3割8分7厘、リーグ最多の61四球、チームでは不動の4番ながら8盗塁の脚力。走攻守での躍動がノルマとなるが、伸びしろが無限の村上ならやってくれそうだ。