【プレミア12】マイナー中心の米国に侍ジャパンが完敗 プレミア12の存在感がジリ貧に

2019年11月13日 16時30分

初黒星を喫した稲葉監督(中)は力なくスタンドに頭を下げた

 果たして4年後はあるのか…。侍ジャパンは国際大会「プレミア12」スーパーラウンドで12日の米国戦に3―4で敗れ、今大会初黒星を喫した。辞退者が続出したとはいえ、NPBの主力選手で編成されたトップチームが若手マイナーリーガー中心の相手に明らかな力負け。屈辱的な敗戦の影響は試合内容以上に大きく、今後の大会存続を危ぶむ声まで上がっている。

 1点差ながら試合内容は完敗だった。プエルトリコ戦で6回1安打無失点のサブマリン高橋礼は米国打者の豪快なフルスイングの餌食となり、4回4安打2失点で降板。安打数も米国が11本と日本を4本上回り、相手に主導権を握られたまま今大会初黒星を喫した。

 敗戦直後の稲葉監督は会見で「負けてはしまいましたが、選手は全力でやってくれた。結果は私の責任」と切り出した。まだ優勝の可能性は十分に残っているが、この敗戦のショックは小さくない。「世界一を争う」という大会の存続意義が揺らぎ始めているからだ。

 野球の国際大会には今回の「プレミア12」の他に、4年に1度開催される「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」がある。どちらも世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認の大会だが、その性質には大きな違いがある。日本代表に選出された経験を持つ球界OBは「今日の一敗は重いですよ。日本はNPBの主力を集めながらマイナーだらけの米国に勝てなかった。こうなると今後はWBCこそが『世界一を決める大会』としてより認知されていくでしょうね。ただでさえ世界的に認知度の低いプレミア12は存続していけるんでしょうか」と警鐘を鳴らす。

 WBCは米大リーグ機構(MLB)と、その選手会により運営される。米国が初優勝した前回2017年大会はドミニカ共和国、プエルトリコなどの強国もメジャーの主力級をズラリと並べた。米国が躍進した前回大会は母国内でMLBの想定を超える盛り上がりを見せ、その価値は回を重ねるごとに上昇。次回は東京五輪後の21年春に開催予定となっている。

 そのWBCに対抗すべくWBSCが資金源として立ち上げた「プレミア12」は2回目にして早くもジリ貧だ。「今回の大会は中継権を買ったTBSとテレビ朝日のカネで持っているようなもの。ただ15年の前回大会と比べて視聴率は芳しくありません。高視聴率を叩き出しまくったラグビーW杯との差は歴然で、客席は日本戦でもガラガラ。興行としてギリギリのラインです」(在京キー局関係者)

 さらに決定的なのが肝心の選手たちのモチベーションだ。侍戦士の一人が本音を明かす。「日の丸を背負えることは光栄ですし、出る意味がないとまでは言いません。それでもシーズンが終わった後に1か月も拘束されるのは正直キツい。今回踏ん張って出ているのは東京五輪があるから。人生一度のチャンスだし、やっぱり地元開催される五輪には出たいじゃないですか。そういう選手は多いはずですよ」

 だが、24年パリ五輪に野球競技が存続している可能性は低い。となると23年の第3回「プレミア12」にはメジャーリーガーどころかNPBの主力級も参加を見送る可能性がある。そうなれば、日本のカネに支えられた大会が続くのかどうか…。

「今大会の目標の一つは五輪出場権を得ること。我々は東京が大好き。来年帰ってきたい」。米国代表を率いるブローシャス監督の言葉が、なんとも皮肉に聞こえた。