【プレミア12】ベネズエラに棚ぼたの白星発進 戦う前からあった予兆

2019年11月06日 16時30分

試合後、殊勲の菊池涼(左)をねぎらう稲葉監督。ホッとした表情だ

【台湾・桃園5日発】青息吐息の白星スタートとなった。侍ジャパンが国際大会「プレミア12」の1次ラウンドB組初戦でベネズエラと対戦し、8―4で勝利。2点ビハインドの8回に相手投手陣が崩れ、6点のビッグイニングを作って逆転に成功すると、何とかそのまま逃げ切った。タナボタ感が否めない中、実はその舞台裏でもチームは大きくバタついていた。

 素直には喜びづらい勝利だった。0―1の5回に菊池涼、鈴木の広島コンビに適時打が飛び出していったんは逆転に成功。しかし6回に中継ぎ陣が3失点し、再逆転されると苦しい展開に。敗色気配が漂い始めた2―4の8回、3四球で一死満塁とすると不振の坂本勇に代打・山田哲を送った。しっかり押し出しの四球を選んで1点差とすると菊池涼が同点適時打、さらに鈴木の犠飛などで大量6点を奪って大逆転。大事な初戦で辛くも白星をもぎ取った。

 試合後の稲葉監督は「今日は初戦ということで緊張感があるなかで、打撃陣はベネズエラの投手陣をなかなか打つことができなかったが、終盤四球を選んでつないで、つないで勝てた。逆転したのは明日につながるいい勝ち方だったと思う」と振り返った。しかし、その表情は最後まで硬く険しいままだった。

 勝つには勝ったが、万々歳とはお世辞にも言えない。そんなスッキリしない稲葉ジャパンの“不穏な空気”は戦う前から予兆として表れていた。

 まずはチーム宿舎だ。新竹市内の高級ホテルだが、郊外のため歓楽街のある中心地からは車で30分弱かかる。周囲にはコンビニエンスストアが一軒あるぐらいで、チーム内からは「徒歩で行ける距離には羽を伸ばせるようなスポットがない」とブーイングが飛び交っている。「ホテル内の設備は素晴らしく、旅行で来る分ならば確かに豪華な施設。ただ試合をするために来ている我々にとっては大会期間中、徒歩で行ける歓楽街が近くにあったほうが息抜きにつながるはず。おかげで行くのは、そのコンビニばかりですよ」(侍ジャパンチームスタッフ)

 そんな気苦労を知ってか、稲葉監督は宿舎内で自分の隣の部屋をオープンルームとして選手たちに開放。“侍テラスハウス”とし、選手間の交友スペースのような空間を設けた。ただ、これについても「ほとんど利用している選手がいない」というから指揮官の気配りも空回りしてしまっているのが現状のよう。前出のスタッフは、こうも打ち明ける。

「稲葉監督もかなり腐心しているようで、5日には自らの呼び掛けによって新竹市内の有名焼き肉店で決起集会が開かれた。全選手、スタッフが参加して盛り上がりたかったのですが…。どこからか情報が漏れてしまい、店の前に台湾人ファンが大集結してしまうハプニングに見舞われてしまったのです。それもあって多くの選手が嘆いていました」

 この日の試合中にはバックネット裏に日本人中年男性の酔客が出現し、グラウンドに響きわたる大声で「勝てへん! 打てへん!」「あーもう、絶対打たれる!」などと叫びまくって侍ジャパンの選手たちを困惑させるハプニングもあった。

「『あれれ』といううちに先制されてしまって…。とにかく最後は勝てて良かった」とはムードメーカー・松田宣の弁。ヘロヘロながらとにかく勝ったことで、仕切り直しといきたいところだ。