ついに連勝が止まった。巨人は1日の広島戦(マツダ)に4―6で逆転負けし、9連勝を逃した。先発の山口俊投手(30)が5回途中6失点、8四死球を与える大荒れの内容で自身今季初黒星を喫したが、試合後に漏れ出たのは右腕への“同情の声”だった。その理由とは――。

 連勝の勢いは真っ赤に染まった敵地でのみ込まれた。序盤から山口俊が制球に苦しみ、会沢にはまさかの2打席連続死球。これには両軍ベンチが一斉に飛び出して一触即発の事態となり、警告試合が宣告される荒れ模様に。右腕は2回までに挙げた3点のリードを守れず、5回途中で9安打を浴び、2つの押し出し四球も与える乱調ぶりで、自身初の3試合連続完投勝利も逃した。

 試合後、山口俊は「状態は悪くなかったが、制球できなかった。その中でもゲームをつくらないと」と唇をかみ、2回に相手先発・中村祐への四球でピンチを広げたことに「一番の反省点」と肩を落とした。由伸監督も「一番は投手に四球を出してしまったところが、流れが変わってしまったのかな」とポイントを指摘した。

 ただ、この日の敗因については別の場面を挙げる意見もあった。それが、攻撃直後の投手へのケアだ。山口俊は2回の攻撃時に二死一塁の場面で打席に立ち、左前打でチャンスを広げた。続く坂本勇の打球は左中間を深々と破り、一塁走者の山口俊は97キロの巨体を揺らして激走。ついには本塁へ滑り込み、足で貴重な3点目をもぎ取った。

 2打点を叩き出した坂本勇も「俊さんがよく走ってくれた」と好走塁に感謝しきりだったが、問題はその直後のシーンだ。次打者の吉川尚が2球目を叩いてあっさりと凡退し、攻撃を終了した。

 もちろん結果につながれば打線の勢いが増す可能性はあったかもしれないが、投手が打席を終えた後の打者は、少しでも時間を稼ぐのがセオリー。それが激走した後ならなおさらで、山口俊はベンチで呼吸を整える時間もほとんどないまま再びマウンドに向かい、さらなる悪循環につながった。

 右腕は「(呼吸の乱れは)多少ありましたけど、それは言い訳にはならないです」と責任を背負い込み、指揮官も「セ・リーグの野球というのは、こういうものですから」としたが…。

 本紙専属評論家の大下剛史氏は「2番打者で、ましてや二遊間を守る選手であれば、そういう細かい気配りや目配りも必要だ」と断じた。打倒・広島、4年ぶりのV奪回を狙う上で、そうした細やかなプレーも効いてくる。実際にこの日、カープサイドでは中村祐の次打者として3度打席に立った1番・田中は押し出しを含む3四球を選んでいた。

 チームの連勝は止まったが、貯金2で2位はキープ。再び白星を積み重ねるためにも、この日の敗戦を糧にしていくしかない。