巨人・小林誠司捕手(28)が身内も驚きの打率リーグトップに浮上だ。長野で行われた24日の中日戦は3―1で接戦を制し、今季初の4連勝。1失点完投の山口俊は圧巻だったが、この試合でひそかに注目されていたのが小林の打率だった。

 試合前の時点では規定打席にわずかに届いていなかったが、この日プロ入り初めて「7番」に打順が昇格した小林は1点を追う2回二死一塁の第1打席に逆転を呼び込む左前打を放つなど、4打数2安打。ついに規定打席に到達し、中日・アルモンテを抜いて打率3割7分5厘で堂々のリーグ首位打者に躍り出た。

 昨季は規定打席到達者中で打率最下位の2割6厘。首脳陣は「せめて2割5分打ってくれたら…」とチームを挙げて正捕手の打棒強化に取り組んできた。それでもオープン戦は極度の不振でベンチを悩ませた。ところが、開幕後はウソのように打棒が爆発。由伸監督も小林の活躍には「成長? どうなんでしょう。スイングが速くなっているのか、力がついたのか…」と首をかしげながらも、「調子がいいですねえ」と予想を超える活躍に笑みを隠せない。

 日ごろ小林を厳しく指導している村田ヘッド兼バッテリーコーチも、愛弟子の活躍に相好を崩した。打率トップ浮上については「(ランキング表を)写真に撮っておいたほうがええな」と切り出して爆笑を誘うと、「でも20試合以上やってトップに立つというのは、決して偶然ちゃうと思うで。(打撃の)内容もええ。春の珍事が、夏の珍事までいってほしいよ」と“絶口調”だった。

 試合後に大勢の報道陣に囲まれた小林は、クールな表情を崩さず「たまたまです。(打率は)いずれ下がるときも出てくると思う。そういうときに今の状態を忘れずやっていきたい」と殊勝にコメント。それでも誰が打つより、この男が打つと巨人は盛り上がる。