広島は17日のヤクルト戦(呉)に7―4で今季8度目の逆転勝ち。リーグ10勝一番乗りで12日以来となる首位に返り咲いた。ただ、球団初のリーグ3連覇に向けて盤石というわけでもない。

 この日は今季初先発の九里亜蓮投手(26)が初回から押し出しを含む3四球と制球が定まらず、4回途中6安打5四球4失点で降板。緒方孝市監督(49)が「今日は打線に尽きる。初回から気迫あふれる攻撃を見せてくれた。後を継いだ投手が粘り強く投げられたのも攻撃陣のおかげ」と振り返ったように、勝因は同点の4回に放った決勝打を含む2安打3打点の田中広輔内野手(28)や3安打2得点した菊池涼介内野手(28)ら野手陣の働きだった。

 チーム打率リーグ3位(2割6分4厘、トップの巨人とは5厘差)と力を発揮している打線とは対照的に投手陣、特に先発陣は不安定な状態が続いている。昨季15勝を挙げて最高勝率のタイトルを手にした薮田は、開幕ローテーションに入りながら2試合連続の背信投球で中継ぎへ配置転換された。

 毎週水曜日の試合は高卒2年目の高橋昂や中村恭、18日には中村祐を起用するなど“週替わりローテ”でやりくりしている。

 それでもチーム防御率(3・73、トップのDeNAは2・75)はリーグ3位ながら、気がかりなのは12球団ワーストの71与四球だ。後ろで守っている野手にもストレスとなっており、チーム内からは「打球が飛んできた方が集中して守れる。野手は投手の背中を見ているし、一球一球しっかり投げようとしているかどうかは見ていたら分かるもの」と厳しい意見も出ている。

 勝つことで不満が抑えられているのが現状で、投手陣の“四球地獄”が解消されないことには、野手陣との信頼関係も築けない。12球団トップの逆転勝ちの数は“打高投低”の裏返しでもある。目標が高いだけに♪今日のカープは勝~ち勝~ち勝っち勝ち…と喜んでばかりもいられない。