阪神が本拠地・甲子園開幕となった10日の広島戦に4―3で逆転勝ちし、再び貯金1とした。

 高山、糸井の走塁ミスが飛び出しながらも相手の自滅で得た、儲けものの白星…。それだけに金本監督は「随所にやってはいけないプレーがあったり、本来普通にやればいいことをできなかった中でよく勝てた。高山? 言うに値しません。適当に書いてください。これでよく勝てたなと思うし、こういうプレーしても勝てるんだと絶対思わないように」とオカンムリだった。

 そんなチーム状況の中、前主将の鳥谷敬内野手(36)が“苦境”に立たされている。この日も右投手が先発にもかかわらず5試合連続でスタメン落ち。9回表に二塁での守備固めで出場し、連続試合出場記録こそ1904試合と継続したが、今季は開幕2戦目でいきなりスタメン落ちするなど、9試合で6試合先発を外されている。

 鳥谷はこの“現状”に「自分で決めれることじゃない。与えられたところでしっかりやるだけですよ」と殊勝に話していたが、波紋は広がっている。

 ある球団関係者は「そうは言っても本人のモチベーションが低下していないかが心配。オープン戦の不振(打率0割6分7厘)も響いているんだろうが、巨人のように、阿部の代わりに将来を見据えて若手の岡本を起用するというレベルなら納得もするだろうけど、そうじゃない。同じ二塁で併用されている上本、西岡と中堅の選手が相手だけにどう思うのかが気になる」と鳥谷の精神状態を気にかけている。

 また、この日のテレビ解説で訪れた大物OBの江夏豊氏(69)も「(控え扱いに)鳥谷本人が納得してるなら、とやかく言う立場ではないが」と前置きしながら「選手は試合に出てナンボ。去年の広島戦は鳥谷を始め、糸井らがよく打っている。広島の左投手はジョンソンしかいない弱点がある」と指摘。確かに昨年の鳥谷は広島戦でチームトップの打率3割8分をマークしている。

 金本監督は鳥谷ではなく西岡を起用する理由を「調子がいいし、その辺の判断」と言う。鉄人なりの考えもあるのだろうが、鳥谷の起用をめぐる動向にも目が離せない。