平成の怪物が帰ってきた。中日・松坂大輔投手(37)が5日の巨人戦(ナゴヤドーム)で4209日ぶりに日本での先発登板を果たした。不運な安打と味方の拙守も重なり、5回96球8安打3失点(自責2)で負け投手となった。それでも強力巨人打線から5三振を奪うなどオープン戦の3試合から明らかに状態は良化。次回登板に大きな期待を持たせる内容となった。

 4216日ぶりとなる日本での勝ち星を挙げることはできなかった。「先頭打者をしっかりアウトにすることができなかった。それによって球数が多くなってしまったことが反省です」と松坂にとって決して満足できる結果ではなかった。それでも数字以上に未来へ期待を抱かせる内容だった。

 この日のマウンドは松坂にとってちょっぴり苦め。初回、先頭の立岡は内角の142キロの真っすぐで完全に打ち取った当たり。しかし、二塁・高橋がセンター寄りにポジションを取っていたため内野安打となる。盗塁と四球で一死一、三塁といきなりのピンチ。ゲレーロに左前打を浴び、あっという間に1点を献上する。

 しかし、松坂はここからマギーを高めの真っすぐで空振り三振に仕留めると、売り出し中の岡本には外低めのカットボールで連続空振り三振を奪いピンチを脱出する。

 3回には完全に詰まらせた吉川尚の打球を遊撃・京田が捕れず中前にポテン安打。坂本の当てただけの打球が右前に落ちるなど不運が続く。続くゲレーロを歩かせ無死満塁で大量失点必至の状況。それでもマギーをシュートで注文通りの遊ゴロ併殺。この後、京田の失策でこの回、2点を失ったが、実質は最少失点で切り抜ける投球を見せた。

 4回にも一死二、三塁のピンチを招くが、吉川尚をチェンジアップで、この日5つ目となる三振を奪う。坂本を投ゴロに打ち取り「走者を出しながらも粘って得点を与えない」という正しい“松坂の投球”を見せた。

 球数が100球に近づいたため5回で降板したが、オープン戦と比べて明らかに状態が上がってきた。これも日々進化を続けてきた、たまものだろう。オープン戦の登板では前日にブルペン投球をしていたが、今回は前々日に変更。体のケアも週に1度の針治療とマッサージに加え「他にもいいやり方があるんじゃないかなと探しながらやっている」と新たな取り組みにも挑戦している。

 全ては忘れかけた勝利をつかむため。次回登板は19日の阪神戦(ナゴヤドーム)が有力。次こそは白星で怪物が完全復活を高らかに宣言する。