巨人が1日の阪神戦(東京ドーム)に3―2で逆転勝ち。開幕戦こそエース菅野のまさかの乱調で取りこぼしたが、2試合連続の逆転勝利で開幕カード勝ち越しに成功した。殊勲はもちろん、4回に逆転3ランを叩き込んだ岡本和真内野手(21)。これで2試合連続アーチと待望久しい和製大砲が、いよいよ完全に覚醒した感があるが、この男が4番に座る日はいつなのか。本紙評論家の伊勢孝夫氏が言及した。

 岡本のバットが火を噴いたのは2点を追う4回一死二、三塁だった。阪神先発の秋山が投じた初球、140キロ直球を迷うことなく強振した。G党の希望を乗せた打球は高々と舞い上がり、黄色に染まった左翼スタンドへ。これで岡本の本塁打は2試合連続で、4安打5打点と大暴れした前日から勢いが止まらない。開幕3戦を終えて打率4割5分5厘(11打数5安打)、8打点とオープン戦の好調をそのまま維持…というより上回るペースで打ちまくっている。

 ただ、本人に慢心はない。これまで岡本は「奈良県から来ました、ジョニー・デップです」などユーモラスな発言でファンの笑いを誘ってきたが、この日のお立ち台では、インタビュアーから自己紹介を求められると「今年は気を引き締めているんでやりません」とキッパリ。由伸監督も「見事なホームランでしたね」と目を細め、普段は辛口の村田ヘッド兼バッテリーコーチも「アッパレや」と首脳陣の評価も日増しに高まっている。

 そんな岡本を本紙評論家の伊勢孝夫氏はこう見ている。

「キャンプで見たときは阿部との競争はかわいそうかなと思っていたが、昨日は藤浪に力負けせずにしっかり振り切っていたし、球児のフォークもうまく打った。あんなこともできるんだという印象で、甘い球を逃さず捉えた今日の3ランも見事だった。あとはどれだけ使い続けることができるかだが、親会社も全面的にバックアップしてくれているようなので、由伸監督も思い切って使い続けることができるのではないか」

 その上で、4番を打たせるタイミングについてはこうも言及した。

「いつまでも外国人選手に4番を打たせていてもしょうがない。ゲレーロは6番ぐらいでいいのでは。さすがに今すぐというわけにはいかないが、オールスター明けぐらいには4番を打たせたい。松井秀喜も4番を打つようになったのは4年目から。岡本も4年目だし、早すぎるということはない」

 とはいえ、4番となれば、かかるプレッシャーも想像以上だが…。それでも伊勢氏は4番として育てていくことのメリットをこう力説した。

「かつてのヤクルトでは入団当初の広沢を4番で我慢して使い続けたことがあったが、2割2分ぐらいしか打てなくても、辛抱して使い続けることによって、だんだん4番らしくなっていった。岡本は広沢よりも柔らかくて飛ばす能力がある。まだまだ頼りない顔で損をしているけど、4番を打たせていくことによって、顔つきも変わってくる。ヤクルトと巨人ではプレッシャーが全然違うとは思うが、普通に2割8分は打てる選手になる。それぐらいの成績を残せれば、村田も浮かばれますよ」

 岡本が一人前に成長できれば昨オフ、若返りのためにクビになった村田修一内野手(37=現BC栃木)も浮かばれるというもの。巨人期待の星は、着実に歩を進めている。