広島盛り上げた黒田と重なる上原の姿

2018年03月28日 11時00分

上原(右)の加入でナインの雰囲気も明るくなった

【赤坂英一 赤ペン】最近、おしなべて巨人関係者の表情が明るい。オープン戦は首位で岡本や吉川尚ら、期待の若手も連日活躍中。「一昨年の今ごろは野球賭博でぶったたかれ、去年の今ごろは侍ジャパンに話題をさらわれた。高橋監督体制になって今年が一番雰囲気がいい」と、旧知の関係者もホクホク顔なのだ。

 この“上昇ムード”をさらにもう一押ししたのが“上原効果”である。私は正直、来月で43歳になる元エースが復帰して喜ぶファンがいるのかと勘繰っていた。が、上原が東京ドームで復帰登板を果たした21日の日本ハム戦、スタンドの盛り上がりには圧倒された。

 2006年の実数発表以降、オープン戦で最多の観衆4万6297人が大歓声を上げて「ピッチャー上原」というアナウンスがかき消された。スタンドからコンコースにまで立ち見客があふれ、記者席からトイレに行くにもひと苦労だったほど。球団関係者によると、この日はかなり招待券も配布していたそうだが、昨年まではタダでも来てくれないファンが少なくなかった。「これほどの盛り上がりは予想以上。上原には本番でも大いに頑張ってほしい。球速はともかく、キレとコントロールはもっとよくなるはずですから」と、球団内部の期待度もますますヒートアップしている。

 その上原、技術と経験を駆使したベテランならではの投球は見応えたっぷり(皮肉ではない)。加えて、囲み取材の受け答えも実に味わい深い。久々の東京ドームで違和感はなかったかと私が質問すると「こんなに暗かったかなあ、と思いました。おかげで捕手のサインがよく見えない。でも、ほかの投手は普通に見てましたね。トシでぼくの目が悪くなったのかも」。さらに、本番では連投もあり得るが、と水を向けたら「3連投は勘弁していただきたい」と真顔で答えてくれた。

 そうした“上原節”に笑いながら、現役生活の晩年に広島へ戻ってきた黒田を思い出した。当時の黒田も「いつ野球を辞めるかわかりません。ひょっとしたら明日かもしれない」と、冗談めかして言っていたものだ。もちろん、黒田と上原では復帰した経緯がまったく異なる。それでも、バテバテになりながらも奮闘している元エースの姿は、後輩の選手たちにとっても確実にプラスになるはず。それこそが真の意味での“上原効果”かもしれない。