日本ハムの黄金ルーキー・清宮幸太郎内野手(18=早実)が13日、東京都内の病院で精密検査を受け、腹腔内の一部に炎症が見られる「限局性腹膜炎」と診断された。15日まで入院し、点滴などを受けて経過を観察する。清宮のアクシデントは1月から早くも3度目。歯車が狂った黄金ルーキーはどうなってしまうのか…。

 清宮は11日、鎌ケ谷スタジアムで行われたDeNAとのオープン戦終了後に広島入り。13、14日に開催される広島とのオープン戦(マツダスタジアム)に備え、12日は休養日となっていた。

 そんな休養日の午前中に腹部の倦怠感や鈍痛などの症状を訴えると、首脳陣は「試合に出られるような体調ではない」と判断。同日昼過ぎに単身帰京し、都内の病院に検査入院した。清宮が不調を感じ始めていた時期について、吉村GMは「ここ数日間」と話しており、少なくとも12日の遠征前から何らかの違和感を覚えた可能性がある。緒方野手総合コーチも清宮の変化には気付いていたようで「(原因は)プレッシャーとかではないと思うけど、疲れとかは間違いなくあっただろうね」と指摘した。

 沖縄で行われた春季キャンプ中にも「急性胃腸炎」で一時離脱しており、短期間を置いて再び腹痛症状…。1月のアリゾナキャンプ前に負傷した右手親指も含めると、月に1度のペースで体調に異変をきたしていることになる。

 それでも栗山監督は黄金ルーキーの開幕一軍スタートに向け、一線級の投手との対戦を経験させるために、度重なるアクシデント後も一軍に帯同させ続けてきた。

 ここまでオープン戦は7試合に出場し、15打数無安打で8三振。不測の事態もあったとはいえ、これにはナインからも「まだ高校生だし、疲れもたまるだろうね。今回で(アクシデントも)3回目だからね…」と同情の声が出た。

 栗山監督もこの日の試合前「いかなる理由にしても申し訳ない。どんな状況であろうと、選手が苦しむということになるのは監督の責任でもある」とうつむき加減に謝罪。日本ハムのキャンプやオープン戦には清宮目当てのファンが多く駆けつけており、清宮をなんとか一軍でプレーさせたい球団の意向は理解できるが、高校を卒業したばかりの18歳のルーキーにかかる心身への負担は想像以上のものだったといえる。

 今後は体調がどれだけ回復するかにもよるが、すぐに一軍合流させるべきなのか、それとも独自で調整させるほうがいいのかは意見が分かれるところ。鎌ケ谷の二軍施設でみっちり打ち込ませたり、ある程度の結果が出るまでは教育リーグで実戦経験を積ませ、一軍復帰は自信をつけさせてからでも遅くはないという意見も出てくるだろう。

 実際、広島に入団したもう一人の大物高卒新人・中村奨は現在教育リーグで順調に実戦経験を積んでおり、あの松井秀喜氏でさえも高卒1年目のこの時期はプロの壁にぶつかり、教育リーグに出場している。

 開幕まで残り17日。球団の方針は「何が何でも開幕一軍」なのか、それとも…。清宮の体が発した「SOS」を、球団は果たしてどう聞くか。