広島は11日のヤクルトとのオープン戦(福山)に3―3と、同カード2試合連続のドロー。昨季は17勝7敗1分けとカモにしていた相手だが、チーム内からは「今季は警戒すべき」との声が上がっている。

 いずれの試合もリードで迎えた9回に同点とされて勝利を逃した。ただ、タナキクマルといった主力野手は途中で交代。今村、中崎ら中継ぎ陣の起用も「勝利の方程式」通りではなく、若手にチャンスを与えるなど、必ずしも勝利を意識したものではなかった。緒方孝市監督(49)は「チームとしての戦い方」を重要視しつつも「結果だけがすべてじゃない。内容も見ている」といった発言を繰り返している。

 だが、目先の結果だけでなく、今回の2連戦でヤクルトを脅威に感じたのは、昨季まで広島で指導にあたった石井打撃コーチと河田外野守備走塁コーチの“ヤクルト移籍”に要因がある。10日の試合では2回にバレンティンが畠山の二塁打で一塁から一気に生還し、3回無死三塁では山田哲の右打ち(一ゴロ)で得点を挙げるシーンがあった。あるチーム関係者は「次の塁を狙うといった意識や、安打でなくても点を奪うといったことは、石井さんや河田さんの考えが浸透している証拠」と分析した。

 また、11日の試合では3回、一死一塁の場面で荒木がバスターエンドランを試みるなど、ファウルになりながらも積極的な攻撃を仕掛けてきた。別の球団関係者は「ヤクルトの選手には(両コーチを含めた)首脳陣の采配になんとか応えようという姿勢が感じられた」と振り返り、警戒心を強めていた。

 昨季得意とした相手だけに「いつも通り自分たちの野球をやっていくだけ」と過剰に反応しない意見もあるが…。今季のヤクルトはこちら側の手の内を知り尽くしている2人の存在で、一筋縄ではいかないかもしれない。