巨人に復帰した上原と同じ1999年デビュー組の中日・松坂大輔投手(37)も存在感を発揮し続けている。ここへきて特に注目されているのが“神通力”だ。テスト入団以来、沖縄での合同自主トレや春季キャンプ中にアドバイスを送った若手選手が次々とオープン戦で好結果を収めるなど“松坂チルドレン”が大躍進。チーム内では松坂から一刻も早く薫陶を受けるべきだとの声まで出始めている。

 松坂門下生の筆頭は3年目左腕・小笠原慎之介(20)だ。9日の阪神とのオープン戦(甲子園)に先発して圧巻の投球で阪神打線を手玉に取り、7回を2安打無失点。これで球団史上最年少となる開幕投手(30日、広島戦=マツダ)の権利をグッと手繰り寄せた。

 ここまでオープン戦で結果を出せない先発候補が多いことにボヤキ節を連発した森監督は、この日も「結果を出しているのは柳と小笠原の2人しかいない」と言いつつも「開幕投手は小笠原? 言えませーん。教えませーん。好きなようにお書きになれば」と吐き捨てつつも否定しなかった。

 将来のエース候補でもある小笠原は、松坂から「真っすぐをカーブのように投げられるように」などと様々なアドバイスを受けてきた。「夢のような時間」と感激しているだけでなく結果で“恩返し”もしている。

 2番手で登板した育成選手の木下雄介(24)も1回無安打無失点で三者凡退にピシャリと抑え、支配下登録に向けてまた一歩近づいた。キャンプ中の松坂からのアドバイスに関して「極秘です」と口をつぐんでいるが、それほど大事なことを教えてもらったのだろう。6日のヤクルト戦(宮崎アイビー)で先発し、5回無失点と好投した横浜高の後輩・柳裕也(23)も、松坂とはキャンプ中に一緒に食事に行くなど貴重な時間を過ごしている。チーム関係者も「松坂からアドバイスをもらった選手が揃いも揃ってここまで結果を出しているのは驚き。やっぱり松坂は何か持っているということ。まだ教えてもらっていない選手は頭を下げてでも早く教えてもらった方がいい」と舌を巻く。

 松坂からアドバイスが欲しくても、なかなか声をかけられず「見て盗むしかないです」と漏らす選手が多い中で、実際、助言をもらえた選手は、ナインの間でも羨望のまなざしで見られている。“松坂の教え”が得られた選手が増えれば増えるほど中日の巻き返しが現実味を帯びてくる。