巨人・鹿取GMが語る由伸監督、補強・育成構想、村田退団

2018年03月01日 11時00分

伊原氏(左)と話す鹿取GM

 巨人再建のキーマンを直撃だ。インフルエンザの蔓延を受け、那覇キャンプを1日前倒しで打ち上げたが、若手を鍛え上げ密度は濃かった。そんな古巣キャンプを訪問した本紙専属評論家の伊原春樹氏が今回対談の相手に選んだのは、編成部門トップとしてフロントを率いる鹿取義隆GM(60)。補強の狙いや若手の育成構想、GMの役目と現場トップである高橋由伸監督(42)との関係まで――。黄金時代の西武と伝統球団である巨人、どちらも知る両氏が交わした激論をお届けする。

 伊原:どうだい、GMの仕事は。前GMの堤さんは現場にも気を使ってやっていた印象だけど、現場との線引きはどう考えている?

 鹿取:体制を整えて現場に戦力を預けて、底上げをしてもらってチームを作ると。もちろん、GMとしてはこういうチームを作ってもらいたいという構想はありますけどね。それに加えて、育成のこともやっていかないといけない。

 伊原:ただね、監督にアドバイスするのもお前さんの仕事じゃないの?

 鹿取:しますよ。それはします。

 伊原:監督だって足りない部分があるから。本来はそういうことはヘッドコーチがやるんだけれど。介入しすぎは良くないが、アドバイスは大いにしたほうがいい。

 鹿取:僕もヘッドコーチの経験はありますので、こういう策はどうだろうと言うことはあるでしょうね。言うべきときは、言ってもいいとは思っています。

 伊原:西武から野上、中日からゲレーロを補強。GMとしてはいい仕事したと思うけれど、新外国人投手のヤングマン。あれもちゃんと自分で見て獲ったの?

 鹿取:見ていますよ、映像では。米国へ視察に行ったときは見られませんでしたけど。向こうのスカウトマンが映像を持っていますから。

 伊原:マイコラスの代わりになってくれればという狙いなのかな?

 鹿取:そうは思ってないです。今いるメンバーでカバーできると。マイコラスも去年は良かったですけれど、それまではずっと良かったわけではない。去年は本当に素晴らしかったんで皆さんに穴が…と言われますが、そこは別の力でもカバーはできる。その中にヤングマンがいると思っていただければ。

 伊原:投手陣に関しては去年リーグ防御率2位。畠もやると思うし、今年は山口俊もいる。ただね。巨人はここ2~3年、去年の山口俊みたいな事件が毎年起きている。そういう年は優勝しないんだよ。チームの引き締めもGMの役割だと思うんだがね。

 鹿取:見えないところでやられると、どうしようもない。あの事件以来、いろんな対策をやっていますので、今後はないと思いますよ。

 伊原:まあ、今年は山口俊が相当やるんじゃないかな。そうなると、投手陣に関しては大丈夫。

 鹿取:おお、言ってくれましたね(笑い)。

 伊原:問題は野手陣だよな。特に二塁手じゃないか。高橋監督とも話したけれど、去年はマギーが守ったが、西武の強い時代を知る自分からすれば、マギーが二塁を守っているようでは優勝できないですよ。

 鹿取:去年は勝っていないから、何と言われても仕方がないです(苦笑)。ただ、それは現場で決めることですし、二塁手候補としてはドラフトで補強もしていますから。一昨年も吉川尚を補強しましたけれど、今年はカバーできているんじゃないかと。

 伊原:高橋監督とも話したけれど「セカンド誰にするの?」と聞いたら「候補が4人ぐらいいます」と。でもちょっと打てなかった、守れなかったから代えますというんじゃ、選手は育たないんじゃないのって。

 鹿取:それもあるでしょうね。

 伊原:去年、西武の辻監督に「ショートを誰にするの? 我慢して誰かに『お前に任すんだ』とやったほうがいいんじゃないの」って話したんだけど、それで彼は「やります」って言って源田を使った。1年間我慢してね。「巨人もそういう方向に持っていったらどうなの」って言ったら、高橋監督は「それぐらいやってくれたらいいんですけど」って。そうじゃないんだよ。「お前さんが使っていかなくちゃ。こいつにかけるという思いで使っていかないと、若い子はやっぱり出てこないんじゃないかな」ということは言ったんだけどね。そういうことをGMは言わないの?

 鹿取:それは誰もが思っていることですよ。もちろん、監督も思っていますよ。監督の中では決めていると思いますよ。あとはどこまで我慢できるかだけです。

 伊原:どうしても優勝争いが佳境に入ると、調子のいい選手を使いたくなるからね。そこをどれだけ我慢できるか、我慢をさせるのもGMの仕事じゃないかな。

 鹿取:強いチームはそうやって勝ってきていますし、それは高橋監督もわかっていると思います。ただ去年まではそういう選手がいなかった。それでマギーが二塁に回って、村田が三塁へ入ったと。今年はそうじゃなくて選択肢がある。監督の中では十分わかっていることだと思っています。

 伊原:村田は思い切って切ったね。

 鹿取:それはチーム方針としてですね。断腸の思いで手放しました。

 伊原:ところがその後、どこの球団からも話がない。村田は一見態度がとっつきにくいが、すごく性格もいいし、どこへ行っても若い選手のかがみになると思うんだよ。この際どうかな、鹿取GMの方からちゃんと発信してくれない?「どこか村田を獲ってくれ」って。

 鹿取:いや、いろんなところに声はかけていますが、なかなか決まらないということで…。BCリーグ球団などからはたくさん話が来ているんですが、あとは本人の決断だと思います。

 伊原:まあ、ちょっと話はそれたけれど、今年のお前さんには期待しているんだ。これだけの歴史がある球団のGMだからね。実際にチームを作れる楽しさもある。成績が悪ければすぐ辞めてやるという覚悟もできていると思うしね。ようやくOBがGMになったといういうところで、鹿取GMの発信力、発言力に大いに期待していますよ。

 鹿取:ありがとうございます。