中日にテスト入団した松坂大輔投手(37)が21日、沖縄・北谷キャンプでフリー打撃に登板し、上々の仕上がりぶりを見せつけた。「平成の怪物」が移籍後初めて打撃投手を務めるとあって森監督や首脳陣はもちろん、練習中の選手らも手や足を止めて松坂の投球を一斉に凝視。そんな中、メジャー通算66本塁打を放った来日3年目のダヤン・ビシエド内野手(28)が、ソフトバンク時代の3年間で一軍登板が1試合しかなかった松坂の復活に太鼓判を押した。
松坂が復活への階段をまた一歩上った。フリー打撃で福田と京田を相手に計45球を投げ込み、両者に柵越えを1本ずつ許したものの、計29スイングで安打性の打球はわずか5本。スライダーやカーブ、チェンジアップなど多彩な変化球を全球種交えながら幻惑した。「意外とまとまっていたのでは。打者に迷惑をかけないようにストライクを入れようと思い、それができた。変化球は試合に入っても問題ないと思う」と笑顔を見せた。
投球前に球種を伝えながらも両者から空振りを奪うシーンもあり、スタンドからはどよめきが起きた。昨季149安打をマークして新人王を獲得した京田は「変化球は本当にキレッキレで、普通に空振りしてしまった。特にスライダーの曲がりが大きくて最初ボールかなと思ったけど、思わず空振りしてしまった。ああいうスライダーは今まで見たことがない。びっくりしたというか、衝撃でした」と脱帽。
福田も「フリー打撃なんで、もうちょっと本当は打ちたかったけど、なかなか前に飛ばなかった。今日初めて打席に立って真っすぐはすごく重い球だった。力があってイメージより刺され(差し込まれ)てファウルが多くなってしまった。スライダーも曲がりがでかくてパッと見以上に曲がってきた」と同じ横浜高の大先輩に最敬礼だ。
この投球に驚いたのは対戦相手だけではない。投球を傍らからずっと見守っていたビシエドは「今日の松坂は本当に良かったね。特に変化球が低めのいいコースに決まっていたね。ここまで順調に来ていると思う」とニヤリ。松坂のメジャー時代からファンだったというビシエドは、今キャンプ中に松坂が在籍したレッドソックスのユニホームを持参してサインをおねだりしたほどだ。
「彼は米国でも日本でも大スターさ。この3年間は日本球界に復帰して結果を残せていないけど、彼が復活できると信じている。正直、全盛期までの投球は難しいとは思うが、何よりも彼には高い技術と豊富な経験がある。全然問題ないよ」と断言した。
この日の直球の最速は141キロ。松坂は「140は超えてくれと思って投げていたので良かった」と安堵の表情を浮かべる一方「いまひとつタイミングが合わないこともあったので、腕が振れている感じではなかった」と不満も口にした。
それでも「今の段階としては十分」と順調な仕上がりぶりをアピール。竜ナインから絶賛され、主砲のビシエドからも太鼓判を押された平成の怪物の復活は近いのか。