中日・森繁和監督(63)と駒大の先輩で親交の深い本紙専属評論家の大下剛史氏が沖縄・北谷キャンプでスペシャル対談を行った。話題はもちろん中日にテスト入団し全国的な大注目を集める松坂大輔投手(37)だ。獲得に至った理由と経緯。その間、表に出なかった裏話を指揮官が赤裸々に語った。さらに今後の松坂の起用についても大下氏が森監督に鋭く切り込んだ。

 大下:一番先におまえの顔を見に来た。心配じゃけ。大輔はいいのか。

 森監督:今年はいいです。

 大下:ローテ当確か。

 森監督:そこまでの段階じゃないですよ。

 大下:(入団させたのは)おまえのひいきじゃないのか。

 森監督:それは違う。ダメだったら引退させる。(引退)させる仕事が俺の仕事だと思ってる。

 大下:でも大輔獲って中日は注目されてるよな。大輔効果だよ。獲ったおまえのヒットだよ。

 森監督:(松坂を)獲ると出たとき、どれだけ叩かれたか。「あんなの獲ってどうすんだ」って。「もっと若いやつ、どんどん使え」って。若いやつはいくらでも使いますよ。でもそれだけでこの名古屋(ナゴヤドーム)をいっぱいにするなんて簡単にはできない。松坂が来て、他のやつが良くなれば、それに越したことない。そうやって今、マスコミが増えている。

 大下:いやいや大輔効果だよ。

 森監督:マスコミ(用)のキャップが(足りなくて)なくなるくらいですから。中日のキャンプに来て14年目になるけど初めてですよ。

 大下:大輔を獲ったのはおまえの判断か。

 森監督:他に誰がいるんですか。俺が球団に頭下げましたよ。初めはあんまりいい顔しませんでしたけどね。言いましたよ。「悪かったら獲らない」と。(松坂が)フリーになっちゃって手助けするのは俺しかいないと思った。(古巣の)西武がやってくれるならそれが一番いい。(楽天を戦力外になった松井)稼頭央に声を掛けた後に松坂に声を掛けられなかったんだと思う。稼頭央と松坂じゃ格が違う。成績とかじゃなくて集めるのに。

 大下:集客数な。

 森監督:そうそう。終わりかけ(の選手)を獲ってきてどれだけ叩かれるのかって不安は(西武の)上にはある。今さら松坂獲ってどうすんだと。それがあったから獲らなかったんだと思う。

 大下:大輔のテストはキャンプ前の名古屋でやった。

 森監督:本当だったら暖かくなってから沖縄でやろうと話していたんですよ。そしたら、よその球団も考えるとこあるんですよ。いろんなところから松坂に電話がかかってきて。うち(のキャンプ)に来ないかって。(理由もなく)断れないじゃないですか。それで「中日さんのテストを受けることになっているんで」と言っていいよと。断る理由として。

 大下:今の時点で松坂はどう使うつもり?

 森監督:1か月に1回投げてくれればいい。6番目、7番目に入ってくれれば十分。1年で10回投げてくれれば御の字だと思う。

 大下:今の時点で可能か?

 森監督:可能だと思います。投げさせます。もう獲ったときから決めてます。

 大下:開幕投手は決めてるじゃろ。

 森監督:決めてないです。外国人(ディロン・ジー=前ツインズ)がオープン戦に普通に行ったら十分に考えられる。中4日、5日で行ってくれれば(開幕カードの)広島の頭と(次カードの)巨人の3つ(3戦目)の2回行けるわけだから。

 大下:(シーズンは)オーバーに言えば広島との開幕3連戦で決まる。1つ勝てばいいわな。

 森監督:もちろん。マツダですし。だったら頭捨てて松坂行ったろうかなと思ったけど、もったいない。広島(マツダ)で使うわけにいかないんで。名古屋(ナゴヤドーム)で投げさせなきゃいけないし。いつになるかは別にしてね。

 大下:大輔は安泰だね。開幕一軍だね。

 森監督:それは(開幕がビジターの)広島だから(開幕一軍登録は)ないですよ。

 大下:営業的には名古屋の初っぱな(4月3日・巨人戦=ナゴヤドーム)だね。

 森監督:それは分からんですよ。巨人戦ですからね。そこまで調整しろと…。

 大下:(言い終わるのを待たず)名古屋の開幕は松坂。ワシの後輩の森監督が明言!

 森監督:松坂がそこに合わせてちゃんとしてくれたら…。

 大下:(またも待たず)おまえワシにうそ言わんもんな。1面は決まった。名古屋の開幕は松坂!

 森監督:その前に名古屋のオープン戦の開幕(3月3日・楽天戦=ナゴヤドーム)。そこに投げさせるしかない。しょうがない。それが理想です。