中日・小笠原慎之介投手(20)が14日、沖縄・北谷キャンプで人生最多の317球を投げ込んだ。

 次々と他の投手が投球を終えブルペンを立ち去る中で小笠原だけが左腕を振り続ける。212球を投げ終えると、踏み出す右足のくぼみが深く掘れすぎてしまったため「僕も初めてでした」というまさかのマウンド変更。その後も100球以上を投げ込み、317球でようやく投球を終えた。見守っていた近藤投手コーチも「見ているほうも疲れるよ」と苦笑いだ。もちろん、今キャンプの一軍投手陣で最多投球数。自身も高校生時代も含め最多の投げ込みとなった。

「前から今日は暖かい(最高気温20度)と聞いていたので投げ込むチャンスだと思っていた。どこまで投げられるのか試してみたかった」と話した小笠原だが、実は松坂の“指令”もあった。前夜(13日)、吉見とともに松坂と宿舎近くの飲食店で夕食をともにしたときのこと。14日にブルペン投球すると話すと松坂から「200球ぐらい投げろよ」とハッパをかけられたという。

 松坂は投げ込みでフォームをつくるタイプで、西武時代には最高で330球の投げ込みをしたこともある。「物覚えが悪いんで意識して投げ込んでいた。体に覚えさせるようにね。疲れてからのフォームが意外にいいフォームということも分かっていたから。体をつくるトレーニングにもなる」。そんな思いから小笠原に声を掛けたのだが、結果はまさかの300オーバー。「317球ですか! 言ってたより倍ぐらい投げてる!」と“愛弟子”の頑張りに目を丸くした。

 小笠原は「200球を超えてもいい球があった。フォームが身についたのかな」と人生最多の投げ込みにニンマリ。若き左腕に松坂の“怪物エキス”が確実に注入されつつあるようだ。