阪神・梅野隆太郎捕手(26)が、正捕手奪取へ並々ならぬ決意でキャンプに臨んでいる。今季は選手会長に就任したこともあり「周囲の見る目も変わってきますから。『梅野がいるから大丈夫』と思われるような存在になりたい」。そのために注力しているのがコミュニケーション能力の向上だ。

 昨季から投手との意見交換に積極的に取り組んでおり、マウンド上では首を振られたサインでも「『なるほど、そういう意図があったのか』と納得してもらえたこともあった」と、徐々に信頼を深めている。

 入団1年目からスタメンマスクをかぶった梅野も今季で5年目。今では「投手からの言葉を受け止めるだけでなく、かみ砕いて理解して、自分の経験を踏まえた意見を投げ掛けることができる」と、捕手として着実に成長していることを自覚している。

 そんな梅野を「強かったチームのほとんどが正捕手を固定している。西武・伊東、ヤクルト・古田、中日・谷繁、阪神・矢野というようにね。阪神が正捕手を一本化できているなら上位にいるということ。経験や打力、守備力のバランスを考えたら梅野は有力ですね」(セ球団スコアラー)と他球団も警戒している。

 一方、2005年のリーグ優勝を経験している能見は「あの時のチームには扇の要にどっしり構えている人(矢野)がいた。安心して投げられたし、打っても打率3割に20本近い本塁打でしょ。そりゃ強いはずですよね」と振り返る。さらに、今季の優勝の条件として「そう簡単にはいかないけど、今のチームにも当時の矢野さんのような存在が必要」と正捕手の一本立ちを期待した。

「技術的な面では個々の競争。その部分で勝った上でさらに、捕手として周囲からの信頼を得るということが必要になる」という梅野は、昨季はチーム最多の112試合に出場したが、シーズン終盤は坂本に先発マスクを譲ることも多かった。今季目指すはもちろん「不動の正捕手」だ。