ミスタータイガースがセ最下位チームに警戒警報だ。昨年限りで二軍監督を退任した阪神の掛布雅之シニアエグゼクティブアドバイザー(SEA=62)が9日、初仕事となる他球団の沖縄春季キャンプ視察を開始した。最初に訪れたのは昨年借金51と低迷したヤクルトで「新体制になってチームが変わろうとする意識をすごく感じた。去年の負けに対する選手の受け止め方もそうだし、一人ひとりが練習で楽しみながらも大事な緊張感がある」と舌を巻いた。

 今季のヤクルトは小川新監督の下、OBの宮本ヘッドコーチや広島をリーグ連覇に導いた石井打撃コーチ、河田外野守備走塁コーチが加入し、巻き返しに燃えている。メジャー経験のある青木も復帰した。母校・習志野高の後輩でもある小川監督と話し込むなど精力的に動き回った掛布SEAは「特に青木君が入ったことで打線が組めるようになる。外野のポジション争いも激しくなるし、山田君へのいい刺激にもなるのが大きい。首脳陣も広島から石井君、そして宮本君が入ったことも大きい。(長時間)練習をしているのも、小川監督が『覚悟してほしい』と選手に言っているからだ。ヤクルトは本当に変わろうとしている」と新生ヤクルトの脅威を肌で感じたようだ。

 今回の他球団視察で掛布SEAが得た情報は坂井オーナーらフロントに届けられる。「今の掛布さんは現場組にタッチしない立場」(生え抜きOB)ながら、その目が確かなことは言うまでもない。昨季17勝7敗1分けとカモにしたツバメの変貌は金本監督率いる現場にとっても危険な存在となりそうだ。