侍ジャパンの稲葉篤紀監督(45)が2日、巨人の宮崎キャンプを視察した。2020年東京五輪へ向け、3月には就任後初のフル代表戦となるオーストラリアとの強化試合(3日=ナゴヤドーム、4日=京セラドーム)が組まれており、現在は代表メンバー選考の真っ最中。巨人では坂本勇人内野手(29)、菅野智之投手(28)の出場を見送る方向という。

 スーツ姿でサンマリンスタジアムに到着した稲葉監督は巨人・高橋由伸監督の出迎えを受けると、グラウンド上で意見を交わしながら坂本勇らの打撃練習に熱い視線を送った。

 この日は約2時間の滞在だったが、巨人キャンプの印象については「去年の悔しさを選手一人ひとりが持っている感じ。黙々とやっている」と評価。あいさつを受けた坂本勇には、代表でも主将の役割を期待していることを伝えた。「年齢的にも五輪の時はいい年齢。代表経験もあって(国際大会の)経験もたくさんある選手。チームをまとめられるような選手になってくれれば」とエールを送った。

 同じく主軸候補の菅野とは顔を合わせるタイミングがなかったが「今の日本のエースだと思っている。2020年もたぶんエースになっているだろうと思う選手。実力は分かっていますので、これからも中心選手と考えていきたい」と語った。

 ただ坂本勇と菅野に関しては、来月のオーストラリア戦への招集は見送る方針であることが分かった。稲葉監督は「いろいろな選手を見ていきながら、バランスを考えて決めていきたい」と明言を避けたが、現状では巨人からは小林、田口ら若手数人の名前が候補に挙がっている模様だ。

 坂本勇と菅野は昨年の開幕前もWBCに主軸として参戦し、シーズンもフル回転した。東京五輪への思いを聞かれた坂本勇は「それも一つの目標ですし、選んでいただけるように、しっかり成績を残せるように2年半頑張りたい」と話したが、Bクラスからの巻き返しを図る今季は若いチームの先頭に立つ主将としてチームでの調整に専念したいとの思いもある。今季から選手会長に就任し、開幕投手に内定している菅野も同様だ。

 一方、侍首脳陣としてもフル代表の初陣となる今回は、テストとしての意味合いが濃いようだ。稲葉監督も「2020年までいろいろ試せるのはこの一年。若い選手をジャパンで経験させたいというのはある」とした。侍スタッフによれば「各コーチからも『今まで見ていない選手をなるべく呼びたい』との意見が上がっている」という。

 侍ジャパン対オーストラリアの裏で、巨人は東京ドームで今年の初本拠地戦となるヤクルトとのオープン戦に臨む。すでに実績十分の2人は、反攻を期すチームを率いることになりそうだ。