プロ野球キャンプインを翌日に控えた31日、元中日監督でGMも務めた落合博満氏(64)が福岡市内で講演会を開催した。「オレ流野球の真実。強い組織を作る方法とは?」をテーマに大いに語りつつ、巨人退団後いまだ去就の決まらない村田修一内野手(37)についても言及した。球界内外で大注目を集める落合氏の、今回の発言内容とは――。

 会場となったのは福岡市内のホテル。午後6時、落合氏はブルーのスーツに黄色のネクタイ姿で、やや照れくさそうに登場した。会場は約230人の熱心なファンで満員御礼。これに気を良くしたか、予定された時間を大幅にオーバーする熱弁となった。

 キャンプ直前ということもあり、なかでも口調に熱を帯びたのが自身が中日監督時代のキャンプについて。

「(自分が監督したころの)中日って強いって言われてました。その種明かしをします」として、就任1年目、2004年の春季キャンプの裏話を披露。この時は初日から2日連続で紅白戦を行い物議を醸したが…。

「ムチャだと言われたけど『何でムチャなの? もう野球始まるんだぞ』っていう話。俺、選手信用してないから。11月にお金をかけて沖縄でキャンプをやって12、1月と2か月は休む。休ませないためには手を打たなきゃいけない」

「紅白戦をやる。そしたら彼らは何を考えるか。落合博満って存在は不気味でしょうがない。5年間ほとんど表舞台出てないんですから。『絶対やるだろうな』って彼らは準備してきた。だから2月1日、2日、彼ら一生懸命でした。まさか俺だって、初日147キロ放るピッチャーが2人も3人も出てくるなんて思ってないもん」

 また、第1クールが“地獄の8勤”となった経緯については「うちの休みは月曜日だけ。月曜は試合がないから。2月1日が日曜だったのは運が悪かった」。さらに「『ドラゴンズなんで弱くなったの?』(って聞かれるが)練習しないから弱くなっただけのことですよ」とバッサリ切り捨てた。

 リーグ連覇を達成しながら11年に監督を退任したことには「幸せな8年間だった。監督を8年やって、次の年契約がないとか、それは契約の世界だからいいんです。契約ってのは、あくまでも当事者同士の合意があって初めて生きるんであって『やりたい』って言ってできる仕事でもない」と、さばさばと振り返ったが、ここで話題は巨人を自由契約になった村田へ。

「ただ、選手は違う。選手は自分で(行きたい球団を)探せます。まあ、探せなくて村田(修一)が今ああいう状態になってますけど」

「報道だと、ジャイアンツが『若返るんで』って戦力外にしたと。でもいくら自分が『やりたい』って言ったって、欲しがる球団がなけりゃできません。それが選手の立場。俺が監督だったら、あいつ獲ってるよ。だって、まだ使い勝手あるもん。でもそれは球団が考えることであって、俺が考えることじゃないわけだ。まあでも…。本人もまだやりたいって言って、一生懸命体動かしてるんだから、どっか獲ってくれればいいなあ。12球団見たって、あり余ってるような戦力ってどこもないんだけどな、獲ってムダではないのに、って思いながら新聞読んでるんですけど…。もうちょっと村田頑張れよ、だよ。ホントに」と、村田獲得に動かない国内球団に首をかしげつつ、村田に猛烈なエールを送った。

 その後も「どこかないの?」と来場者に逆質問をしたり「ソフトバンクでも村田獲ってくんないかな。獲りゃいいのに…」とソフトバンクを名指しするなど、相当気にかけているようだった。

 その一方では「俺の野球はないものねだりをしない。俺は8年間(キャンプインの日に)同じこと言ってました。『開幕メンバー? 開幕投手? 分かんない』。すると『構想はあるでしょ』って言われるんだけど、構想通りいくか分からない。人間はけがするから。ところが皆さん(12球団の監督)は明日、1番誰、2番誰、ピッチャー誰、って言うんでしょ。明日どうなるかも分からないのによく言えるな、と」と、開幕投手をすでに内定させている球団をチクリとやる場面も…。

「(ここは)福岡ですから、今年はソフトバンクが優勝の筆頭に挙がるんでしょう。そんな簡単な世界じゃありませんからね」と、会場のホークスファンに冷や水をぶっ掛ける一幕もあった。そうした発言の数々からは、まだまだ監督としてヤル気満々。血色も良く、すぐにでも現場復帰できそうな雰囲気で、実際「俺が、野球界で嫌われてるのは『仕事ください』って行かないからなんだって。だって、俺の今の食費ってそんなかかんないもん」と、オファーがないことをボヤいているような発言も飛び出した。

 締めくくりは「人に笑われたっていい。俺も今からもいろんなことを書かれたり、言われたりすると思う。何を言われてもケセラセラで受け流せばいいんだろうと」と、何かをやろうとしていることをうかがわせ、機嫌よさそうに会場を後にした落合氏。現場復帰がいつになるかも含め、今後の発言も注目を集めそうだ。