巨人の新助っ人、アレックス・ゲレーロ外野手(31)が28日、東京都内のホテルで入団会見を行った。新4番候補として破壊力アップへ大きな期待がかかるが、水面下ではゲレーロ獲得を巡って“激論”が交わされている。球団の補強方針に疑問を持つナインが反発姿勢をみせた一方で、球団側は大砲不在の打開策として“正当性”を主張。両者の意見は平行線をたどっている。

 この日夕方に来日したゲレーロは東京都内で鹿取GM同席のもと会見に臨み「巨人のためにベストを尽くして優勝に一歩でも近づけるように頑張る。自分はホームランバッターなのでパワーが武器。数字は毎試合出れば後からついてくる。どんな数字かはシーズンが終われば明らかになる。(チームとしての目標は)一試合一試合をものにしてプレーオフに出場し日本シリーズで優勝する」と意気込みを語った。

 昨季11年ぶりのBクラスに沈んだ一因に「大砲不在」が挙がる。チーム最多本塁打はマギーの18発で、トータルでもリーグ3位タイの113発。独走でリーグ連覇を果たした152発の広島に水をあけられ、総得点でも200点の大差をつけられた。得点力不足の解消は喫緊の課題だ。来日1年目から35発を放ち、セの本塁打キングに輝いたゲレーロの爆発力はチーム浮上の大きなカギを握る。首脳陣もゲレーロの起用法を「4番・左翼」を念頭に置いている。

 この日、メディカルチェックや球団行事のため宮崎入りした由伸監督は出発前に報道陣に応対し「慣れる時間は必要だろうけれど日本でのキャリアもあるし、自分のペースでやってもらえれば。もちろん、こっちの言うことを聞いてもらうこともあるけどね」とし、特大アーチは「シーズンで打ってくれればいいよ」と改めて期待を寄せた。

 ただ、ゲレーロの加入には早くから“物言い”もついていた。今オフは球団が戦力の若返りを推し進め、主力の村田も自由契約とした。そうした流れの中でゲレーロと契約合意し、ナインの間では「球団は若返り、世代交代と言って修さん(村田)をクビにしておいて、外からゲレーロを獲ってくるのはどうかと思う。ゲレーロが入る分、若手のチャンスを潰すわけだから。言っていることと、やっていることが矛盾している」と少なからず反発の声が上がっている。

 だが「30発以上打てる長距離砲を」と獲得に乗り出した球団側にも言い分がある。球団スタッフは「去年20本以上打った選手は一人もいない。ならば、球団としてウイークポイントを埋めようとするのは当然のこと。ハッキリ言えば、補強されたくなければしっかり打ってくれという話。とにかく巨人は勝たなくてはいけないチーム。この補強に矛盾はない」と強調した。

 現段階でぶつかり合う双方の主張に妥協点は見当たらない。ナインを束ねる主将・坂本勇はこの日から宮崎で始まった一軍合同自主トレ後に「(ゲレーロ加入は)心強いと思いますし、彼がやりやすいようにサポートしていく。コミュニケーションを取りながらやっていきたい」と使命感を燃やしたが…。

 今後さらに反発が強まるのか、それともトーンダウンしていくのか。すべてはゲレーロの活躍にかかっている。