中日・松坂が注目を集めている。推定年俸は1500万円。平成の怪物が裸一貫で再起を期している。

 ソフトバンクでは苦境だった。推定3年12億円の大型契約で入団したものの、一軍登板は1試合のみ。リハビリの日々だった。ただ、残したものはある。育成選手の川原弘之投手(26)は「リハビリの良くない状況は僕も知っていた。それでもどうにかしようとしているのはすごく分かりました。そういう姿を見ていて勉強になりました」と話した。

 川原は2009年にドラフト2位で入団。高卒3年目に二軍戦で158キロをマークした本格派左腕だ。しかし、15年の開幕前に左肩の手術、オフに左ヒジのトミー・ジョン手術を受けて支配下から外れた。松坂在籍の3年間は時を同じくしてリハビリがほとんどだった。

 松坂はリハビリ組に不在の期間も多くあり、若手に多弁にアドバイスしたわけでもない。川原も偉大な右腕を相手に多くの会話をできたわけではないと話す。ただ「気にかけてくれる言葉はあって、それだけでうれしかった」。諦めずにマウンドを目指す姿には感じるものもあったという。

「違うところに行って、いろんなことをやってるんだろうというのは感じてました。ネットとかで厳しくも言われたりして、普通というか、僕なら辞めている。あれほどの立場の人なわけですし。ファンの人への対応もすごくしっかりしていた」

 川原も「良くなるなら何でもいい」と懸命に復活を模索。今オフは千賀の手引きで参加したコウノエスポーツアカデミーの合同自主トレできっかけをつかめた。千賀に「川原さんが一番すごかった」とも言わせた。平成の怪物の姿を見てきた剛腕左腕が故障を克服して大化けできるか。