【赤坂英一 赤ペン!!】このアイデアはもっと話題になってもいいのではないか。ロッテの井口新監督が「キャンプ初日からシート打撃をやる」とぶち上げているのだ。

 シート打撃とは言うまでもなく、アウトカウントやボールカウント、走者を置いた状況などを細かく設定した実戦形式の練習のこと。井口監督は「ベテランの福浦も新人の安田も横一線で参加してもらう。2月1日は100%の状態で来てほしい」と、初日からサバイバル競争になると宣言。今年のキャンプ、初日ならロッテが一番面白そうである。

 この井口監督の発言で思い出したのが2004年、中日・落合監督就任1年目の北谷キャンプだ。当時、「中日は補強しなくていい。現有戦力を10%底上げすれば優勝できる」と宣言。その「現有戦力」を自分の目で見極めるためだと称して、キャンプ初日から主力も若手も参加させて紅白戦を行った。

 球界に敵の多かった落合監督だけに、これには中日OBをはじめ評論家から批判が続出。「初日から主力に全力でプレーさせる意味があるのか」「オレ流ならではのスタンドプレー」などとこき下ろす発言が相次いだ。が、そんな大方の下馬評をひっくり返し、この年は中日が5年ぶりに優勝。のちに落合監督はこう言った。

「キャンプ初日の紅白戦なら、昔やった監督がいるんだ。おれはそれをまねしただけ。そういう歴史を知らないやつらに限って“オレ流”って言葉を使うんだよな」

 今の井口監督が昔の中日を意識しているのかどうかはわからない。が、落合氏がロッテOBで、ともに2000安打した大打者だったことを考えると、どこか因縁めいている気もする。

 さて、キャンプ初日のシート打撃での一番の注目の的は、やはりドラフト1位の安田だろう。日本ハム・清宮、広島・中村奨が揃って新人王を狙うと公言。将来の目標として清宮が3冠王、中村奨がトリプルスリーを挙げる中、安田のコメントは堅実そのもの。

「まずは、一軍の試合に出ることからです。まだプロの投手が投げる球を実際に見ていないので、何とも言えません」

 しかし、新人合同自主トレの動きを見た限り、足は清宮より速く、瞬発力でも中村奨に負けていない。初のキャンプは石垣島で大いに暴れてもらいたいものだ。