11年ぶりBクラスからの巻き返しに光明だ。新4番候補として前中日のゲレーロを迎え入れた巨人は育成重視の方針もあり、検討していた新外国人投手の獲得について現時点で見送る構えを示している。ただ、長いシーズンを考えれば不安は尽きない。そんななか、現場では身近にいる“新助っ人”の大化けに期待が寄せられている。

 鹿取GMはゲレーロ獲得に際し、FA入団の野上と合わせ「課題はクリアできた」とし、追加の外国人補強について「検討は続けるが、現時点では具体的な話はありません」と見送る考えを示した。その上でマイコラスが抜けた先発陣については「今いるメンバーからローテに入ってきてもらいたい」と現有戦力の抜てきに期待している。

 ゲレーロを含めた今季の助っ人陣容は投手2、野手2となる見込み。新たに助っ人投手を獲得しても投げる枠がない。そんな状況にスタッフの一人は「マシソンやカミネロが故障するかもしれないし、先発が足りなくなるケースも考えられる。二軍を見てみなよ。一軍で計算できる日本人投手なんていないだろう。やっぱり保険は必要じゃないか」と指摘する。

 だが、そうした不安に対して、あるファームのスタッフは「助っ人投手ならいるじゃないか」と切り出し「アダメスとメルセデスだよ。去年は育成だったけど、もしもの時は彼らにチャンスをあげたらいい。外からヘタな外国人を連れてくるよりはよほど計算できるよ」と力説した。

 今季で育成3年目のアダメスは、150キロ超の速球が武器の右腕。ファームの評価では「変化球の精度、制球に課題は残る」というが、昨季のイースタン・リーグでは26試合で4勝4敗、防御率3・16の成績を残している。昨季入団の左腕メルセデスは18試合で2勝3敗、防御率3・29。長い腕を生かした角度ある速球は迫力十分で「あの真っすぐは右打者でもなかなか打ちづらい。単調になってバタバタ崩れるところがなくなれば、先発としての可能性はアダメス以上」という。前出スタッフは「日本人も含めて、今のファームの若手では2人が最も一軍レベルに近い。上でどれぐらいやれるか、そろそろ見てみたい気もする」と言うから期待が持てる。

 昨季は支配下70人枠いっぱいで戦ったが、オフに大量の退団者を出した結果、現在は枠にまだ余裕がある。鹿取GMの補強終結宣言も、この2人の昇格をにらんでのことだったのか…。

 灯台下暗し。今季はジャパニーズドリームを追いかけて奮闘中の若きドミニカンコンビに注目だ。