広島にドラフト1位で入団した中村奨成捕手(18=広陵)が本紙の独占インタビューに応じ、理想の「プロ野球選手像」を明かした。甲子園1大会個人最多本塁打記録となる6発を放った怪物ルーキーは高校の先輩で憧れの巨人・小林誠司捕手(28)に対する思い、さらには日本ハムに入団した清宮幸太郎内野手(18=早実)ら同世代への対抗意識も激白。赤ヘルの将来を背負って立つ男の心境に迫った。

 ――新入団発表も終わり新人合同自主トレが近づいてきた

 中村奨:ちょっとずつプロ野球選手になった実感が湧いてきました。

 ――契約金1億円プラス出来高払い、年俸800万円(推定)。背番号22から球団の期待もうかがえる

 中村奨:お金ではないと思っていますけど、それだけ期待してもらっていると思うので、自分の持ち味をアピールできたらいいのかなと。背番号はうれしいこと。キャッチャー番号というのもありますし、将来を任せられるキャッチャーになってくれという意味も込められているのかなと感じました。

 ――具体的な目標も見えてきた

 中村奨:まずは一軍に上がることが目標です。

 ――理想のプロ野球選手像は

 中村奨:第一は人間としてファンの皆さんに応援してもらえるような選手であること。次にカープのチームメートだったり監督、コーチに信頼してもらえるキャッチャーになることが一番の理想ですね。

 ――捕手にこだわりがある

 中村奨:ピッチャーの持ち味、一番いいところを出していけるキャッチャーになりたいです。でも、遠慮したら負けだと思います。先輩だから、これは言ってはいけないとか考えていたら負けだなと。良さを引き出すためにも言うべきことは言いたいです。

 ――木製バットへの手応えは

 中村奨:金属は飛んでくれるのに木製はしっかり捉えないと凡打ばかり。ボテボテのゴロになってしまいます。

 ――対応するために必要なことは

 中村奨:スイングをして振る力を身に付けないと、対応もできないのかなと。毎日最低500スイングは欠かさずやっています。

 ――甲子園で1大会個人最多6本塁打を記録したこともあり、ファンは「打てる捕手」として注目している

 中村奨:そうですよね。でも、自分はバッティングよりは守備のほうを見てもらいたいので、あまり期待されたりハードルを上げられると…(笑い)。まずは守備からという意識は強いです。送球の正確性、フィールディング、フットワーク。送球の質は一番見てもらいたいところ。キャッチングやブロックなどまだ自信が持てないものもありますが、ピッチャーの球を受けていけば慣れてくる部分だと思います。

 ――打者との駆け引きとして広島OBの達川光男氏(現ソフトバンクヘッドコーチ)が得意としていた「ささやき戦術」もある

 中村奨:今はあんまり分からないですけど、プロでやっていくうちにいろいろ勉強して覚えていけたらいいですね。ただ、寮生活でテレビやネット動画を見る機会が少なくて、過去の映像もあまり見ることができていなくて。プロに入って先輩からアドバイスをもらいたいです。

 ――巨人・小林は憧れの存在として変わらない

 中村奨:一番のお手本で目標にしている方。盗塁阻止にしても見習いたい。ただ、今セ・リーグ、球界で最もいいキャッチャーと言われていて、そういう人に勝たないともっと上にはいけない。広陵の先輩でもありますし、身近なライバル。

 ――小林は日本代表にも選出され、WBCで活躍した

 中村奨:なりたいし、超えたい。侍ジャパンで「22」を付けたいです。国際大会は憧れの舞台。U―18W杯では悔しい負け方をしているので、トップチームでリベンジしたいというのはありますね。清宮(日本ハムドラフト1位)、安田(ロッテドラフト1位)とも、もう一回、一緒に野球がしたい。

 ――清宮、安田ら同世代は注目選手が多い

 中村奨:少しの間だったけど、一緒のチームで戦ってみて、そこで勝てない部分もあった。プロの世界で、同じ舞台でやれるので次は自分が勝ってやろうと思うし、いい刺激になりますね。自分の頑張り次第だと思います。

 ――メジャー志望は

 中村奨:全然考えていないです。行きたいと思っていませんし、まずカープで活躍しないと、そういう話にもならないと思う。目の前の目標を一つひとつクリアしていきたいです。

 ☆なかむら・しょうせい 1999年6月6日生まれ。広島県廿日市市出身。小学1年から少年野球クラブ「大野友星」で野球を始める。3年から捕手に転向。中学3年時には軟式野球チーム「大野シニア」で広島県ベスト8入り。広陵高校進学後、第99回全国高校野球選手権大会で1大会最多本塁打記録を更新するなど、同校10年ぶり4度目の準優勝に貢献した。U―18W杯では木製バットの対応に苦しんで打率1割2分に終わった。右投げ右打ち。181センチ、77キロ。背番号22。