【プロ野球大将 MVP:デニス・サファテ投手(ソフトバンク)】東スポ野球担当記者が独断で選ぶ「プロ野球大将2017」の発表です。18回目を迎える同賞は本業での成績とは無関係に、本紙を通じていかに話題を振りまいたかが選考の決め手になります。栄えあるMVPに輝いたのはグラウンド内外で有言実行の姿勢を貫いたソフトバンクのデニス・サファテ投手(36)です。首脳陣批判とも取られかねない発言でチームを鼓舞する一方で、NPB歴代1位の54セーブを挙げて2年ぶりの日本一に貢献。もはや助っ人の枠を超えて、プロ野球選手のかがみと言える存在です。

 2011年の来日(当時広島)から早7年。今季はプロ野球シーズン最多記録となる54セーブを挙げて2年ぶりの日本一にも貢献。シーズンと日本シリーズでMVPをダブル受賞し、外国人選手では初となる正力賞にも輝いた。そうした数字や名誉ばかりでなく、日本選手が忘れかけているスピリットをグラウンド内外で見せつけたのがサファテだ。

 象徴的だったのは、8月1日のオリックス戦で延長12回にロメロのサヨナラ弾を浴びた直後の発言だ。「先発投手がこれだけ連続して早い回で降りたら、僕らリリーフ陣にツケが回ってくる。岩崎、森、嘉弥真…みんな疲れている。先発投手には、もっと感じ取ってほしい」とまくし立て、首脳陣に対しても「先発を信じて使うのも一つだと思う」と物申した。

 最終的にソフトバンクは2位西武に13・5ゲームの大差をつけてリーグ制覇したが、8月1日の時点では首位楽天にマイナス0・5ゲーム差の2位と苦戦していた。サヨナラ被弾のサファテも3連投中で、救援陣の酷使が続けば日本ハムに大逆転で優勝をさらわれた前年同様、シーズン終盤で失速する恐れもあった。

 サファテの直言を“首脳陣批判”と捉えることなく真摯に受け止めた工藤監督の度量の大きさもさることながら、先発陣も気合を入れ直した。翌2日にはバンデンハークが8回を13奪三振で1失点と奮闘し、8月5日以降の千賀は9試合で最低でも6回を投げきり、平均6・73回と救援陣の負担を軽減した。

 チームをリーグ優勝に導いたサファテは、DeNAとの日本シリーズ第6戦で自己最長の3イニングを投げ、サヨナラ勝ちでの日本一を呼び込んだ。通算229セーブで名球会入りの基準である250セーブも射程圏に入れている。来季も希代の助っ人守護神から目が離せない。