2年連続で阪神の主将を任された福留孝介外野手(40)が22日、自ら「鉄人宣言」をブチ上げた。今季、疲労困ぱいながらもチームを引っ張った“不惑の男”に金本知憲監督(49)ら首脳陣は来季改めて「休養制度」を強化する方針でいるが、本人の答えは完全NO。2003年の中日時代以来となる全試合出場を自己ノルマにするという。

 来年4月26日の誕生日で41歳を迎える福留の舌鋒はどこまでも本気だった。今季は127試合で打率2割6分3厘、18本塁打、79打点と奮闘。福留の疲労度を考慮し、休ませることもあった金本監督は今オフ、改めて来季の起用に「休み休み使えば結果を出してくれる。福留という選手を大事にするためにもヘロヘロの状態で戦場に送り出すわけにいかない。今年は試合に出させて申し訳なかったぐらいだった」と休養制度の強化方針を口にしたが、本人は完全NO!だった。

 実績あるベテランなら喜ぶ話なのに「しんどくなってきた時に休めることはありがたいが、最初からそれを前提に、というつもりはない。出られるなら全部試合に出るという準備をする。若い選手に負けるとか、休んだから負けるというふうに思われるんじゃなく“やっぱりまだまだ勝てないな”というぐらい。それくらいの気持ちでやる」と自ら鉄人宣言。自身15年ぶりとなる全試合出場を自己ノルマと課したのだった。

 むしろ、この福留発言は金本監督ら首脳陣にとってありがたい話だ。そもそも今季、片岡ヘッド兼打撃コーチは「今年は打つだけでなくチーム事情でライトから慣れないレフトにも回ってもらった。普通あれほどの選手で年齢も考えれば引き受けにくいのにやってくれた。感謝しきれない」とまで言い切っていた矢先に今度はこの鉄人宣言。「今のレギュラーは福留、鳥谷、糸井の3人だけ。あとは競争」(金本監督)という状況だけに、なおさらだろう。 

 この日、神戸市内でテレビ番組に出演した福留は中日に入団テストを受けることになった前ソフトバンクの松坂大輔投手(37)に「どうなるかは分からないけど、入ればまたセ・リーグとして何か変わってくるかもしれない。自分がイチ野球ファンとするなら大輔がもう一度投げている姿は見たい。真剣勝負の場で見たいというのは野球ファンであれば思うこと」とエール。世界一を決めた06、09年WBC大会、04年アテネ五輪で同僚だった“元祖怪物”に最後の復活を期待した。

 この男も“鉄人復活”となれば虎のV奪回はグッと近づくはずだ。