中日がソフトバンクを退団して新天地を模索中の松坂大輔投手(37)の獲得を検討していることが判明したことで、球団内に波紋が広がっている。ナインの間では歓迎の声が多数を占める中、一部から「獲るなら(巨人を退団した)村田のほうが戦力になる」と不要論も…。秒読み段階とされる“平成の怪物”の竜入りをめぐり、賛否両論の声が上がっている。

 19日、松坂の中日入りに関する質問に、西山球団代表は「(報道で)今日出ているところは私の全く知らないところで出ているからノーコメントです。申し訳ないが発言は一切なしです」とシャットアウト。米国でのウインターミーティングから帰国したばかりの友利国際渉外担当も「何も話をできませんと書いておいてください。しゃべれる立場にありません」とけむに巻いた。

 しかし、西武時代にコーチだった森監督、現在も兄貴分として親交が深い友利氏が救いの手を差し伸べる可能性は高く、水面下では着々と話が進んでいる模様だ。

 そんな状況とあって、竜ナインは興奮を隠せない。9年目の小熊は「物心ついたころからの憧れの存在で、僕が野球をやるきっかけとなった人。小学2年のころ、甲子園での春夏連覇もテレビで見ていた。中日に来たら技術的なこともそうだけど、メンタル的なこととかも、いろいろ聞いてみたい。けがに関しての知識もいっぱいありそうだし、そのけがから復帰して活躍したら、それこそ目の前に絶好のお手本がいるんですから」と目を輝かせる。

 4年目の阿知羅は「メジャーも経験しているし、短い期間で百何勝もしていて、投球回数もすごく多い投手。ということは体も強いということなのでどういうトレーニングや調整法をしているのか、そうした秘訣を聞いてみたい」と胸を躍らせる。今季は7勝8敗と不振に終わったエース左腕の大野雄も「僕らのスターでしょ。そりゃあ参考になる」とニヤリ。選手サイドは歓迎の声が大方を占め、とりわけ伸び悩む投手たちは怪物入団を心待ちにしている。

 野手の反応も上々だ。「僕が小さいころの日本のエースで、シドニーとかアテネとかの五輪も出ている雲の上の存在。まさかこんなに身近で同じチームになる可能性があるなんて。中日に決まったらとにかく早く僕の名前を覚えてもらえるように活躍したい。松坂さんの後ろを守れたらいいですね」と気合を入れるのは今季、新人王を獲得した京田だ。中日は観客動員でも苦戦しており、ある選手は「松坂さんが入ったらファンの人も増えるのは間違いない。人気面でも期待できる」と営業効果を期待する。

 その一方で、反対意見があるのも確かだ。チーム関係者は「右肩に不安があるし、1年間ローテを守ることが難しい松坂はいらないでしょ。獲るならよっぽど(巨人を退団した)村田の方がチームの戦力になる。救いの手を差し伸べるならこっちだよ」とバッサリ。いずれにせよ、松坂加入の及ぼす影響は大きくなりそうだ。