巨人・菅野智之投手(28)が28日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、ほぼ倍増の4億5000万円でサインした。この時点で来季年俸はチーム最高額となり、名実ともに「巨人の顔」になった。オフの海外自主トレには巨人勢だけでも5人が集結し、一大勢力に成長。長らく投手陣のリーダーだった内海に代わり“菅野時代”の到来だ。

 2億2000万円の大幅アップにも、菅野は「最大級の評価をしてもらったと思うし、周りの見る目が厳しくなるので身が引き締まる思いです」とほとんど表情を崩さなかった。開幕前のWBCでは日本代表のエースとして活躍し、シーズンに入っても驚異的な安定感を発揮。4月下旬からは球団28年ぶりの3試合連続完封勝利を収め、他の追随を許さぬ17勝(5敗)、防御率1.59の好成績を収め、自身初の沢村賞にも輝いた。

 この時点で4億5000万円は、未更改の坂本(今季3億5000万円)を抜いて球団トップ。いよいよ「巨人の顔」となったが、投手陣の自主トレでも菅野が主役となる。菅野のハワイ自主トレには昨オフも同行した東海大の後輩・中川のほか、入団2年間で未勝利のドラ1桜井や飛躍が期待される畠らが初めて参加。菅野と内海の自主トレを行き来していた宮国も今オフは菅野への“一本化”を決意し、G戦士だけで5選手、他球団の選手も集まる予定だ。

 大所帯となる“菅野組”を率いるリーダーは来季から選手会長への就任が決定。特にヤングGの底上げには使命感を燃やしており「聞きに来る選手が少ないなっていうのが一番気にかけていること。自主トレに(巨人勢では)5人連れて行きますけど、何でも聞いてほしい。見ても絶対分からないと思う。よく見て背中から学ぶという人もいると思うんですけど、それでは限界があると思う。僕は貪欲さが欠けているように思う」と早くも手厳しいメッセージを発した。

 菅野が大きく台頭した一方で、長年投手陣の最大グループだった「内海組」には左腕の今村らが参加を希望しているが、規模は縮小。内海は今季も2勝7敗、防御率5.77と不振にあえぎ、この日2年連続で減額制限(1億円以上は40%)を超える50%ダウンの1億円で契約を更改した。

 新旧リーダーの間で明暗はくっきり。投手は菅野を中心に、オフから4年ぶりのV奪回へと動きだす。(金額は推定)