大隣 掟破りの縦スラ“強奪”

2013年01月23日 10時59分

新しい変化球を導入する大隣

 ソフトバンクの大隣は昨季12勝をマークしたものの、左投手であるにもかかわらず左打者が苦手という課題も浮き彫りになった。“左アレルギー”の克服は、今季に向けた大きな課題だ。そこでその“特効薬”として、2年目右腕・武田をスライダーを参考にした新しい変化球を導入する。

「縦スラ、行きます!」

 22日の合同自主トレでのことだ。屋根伝いに雨音が聞こえてくる西戸崎練習場のブルペンに大隣の声が響き渡った。この縦のスライダーが、昨季12勝で才能を開花させた左腕の、新しい武器だ。

 新球を導入する背景には、深刻なワケがある。大隣は左腕にもかかららず、昨季の対左打者被打率は3割2厘と散々。本人も「右打者の被打率(1割8分9厘)と開きがありすぎ」と猛反省した。

 昨季はシーズン中から左打者アレルギーの“治療薬”の開発を検討。当時の斉藤投手コーチ(現リハビリ担当兼ファーム巡回コーチ)と「左に対して空振りが取れる球が必要」と話している中で後輩右腕のピッチングを見てひらめいた。

「武田がスライダーで空振りを取ってたじゃないですか。これかなと思ったんです」

 大隣は直球とチェンジアップの緩急、それに横に変化するスライダーで投球を組み立ている。これに対して武田はスライダーと落差の大きいカーブを武器にルーキーながら67個の三振を奪い、8勝をマークした。鷹の左腕は、9歳年下が投げるスライダーのような球こそが自分に必要だと考え“縦スラ”の導入を決めた。

 勝利のためなら年齢は関係ない。後輩からでもいいものはなんでも盗み、昨季以上の結果を残す。

「実は、昨季中から何球か試しで投げてました。(縦スラは)分かりやすくたとえれば、速いチェンジアップ、スラーブといったほうがいいかな」

 大隣は今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表候補に選ばれている。もし代表に選出されたとしても、新魔球の本大会での解禁はちょっと厳しそう。だがレギュラーシーズンには十分に間に合う。「ある程度手応えをつかんで投げるっていうのはできると思う。左打者に対して幅を広げたい。タイミングをずらせるようにしたいですね。(縦スラが)カウントを整える球、決め球、どちらでも使えるようになればベスト」

 心強い武器を習得しつつある背番号28は左打者もきりきり舞いにして、覇権奪回に導く。