スタイルは変えられない。ソフトバンク・柳田悠岐外野手(29)が“生涯フルスイング”を宣言した。将来的に8割の力での打撃へのモデルチェンジを推す声もあるが、自らの打撃を追求する上では今のスタイルを貫き通すことこそが最良だと実感しているという。

 日本シリーズでの激闘の疲れもどこ吹く風で宮崎での秋季キャンプに参加している柳田の持ち味といえば日本人離れした豪快なフルスイング。2015年6月3日のDeNAとの交流戦では推定飛距離140メートルの特大弾で中堅後方のスコアボードを破壊したこともあった。一方で体への負担も大きく、今季終盤には右脇腹を痛めて離脱も経験した。しかし、希代のスラッガーは「強いスイングというのは野球を辞めるまで変えないかなと思います。残り何年できるかも分からないですし、辞めるまでこのスタイルでいきます」と言ってはばからない。

 来年10月9日には30歳になる。いくら規格外のスイングが持ち味とはいえ、周囲からは「8割のスイング」へのモデルチェンジを推す声もある。王貞治球団会長(77)もその一人だ。誰しもが年齢とともに衰える。マン振りではなくても打球は飛ばせるのだから――との考えだ。

 柳田も打撃のレベルアップや進化は常に模索している。助言を踏まえて試行錯誤もしてきた。その上で今のスタイルこそが自らにとってベストとの考えに至ったという。「単純な話、こっちの方が自分には打てるからです。当てようとしたり、変にきれいなスイングをしようとした方が僕は打てない」と続けた。

 スイングは豪快でも柳田には通算打率3割1分4厘と確実性がある。相手バッテリーの警戒もあり、四球数と出塁率は3年連続でリーグトップ。今季は130試合に出場してリーグ2位の打率3割1分、同3位の31本塁打、同2位の99打点をマークした。「試合に出ていけば、ある程度の数字は残せる自信がついてきたというところもあります」。理にかなっているのだから、スタイルを変える必要もないというわけだ。