阪神・藤浪晋太郎投手(23)が安芸秋季キャンプで猛練習に励んでいる。連日居残りでブルペン入りするなどフォーム固めに必死だ。プロ5年目の今季は開幕から制球難に苦しみ、自身初の不振による二軍落ちを繰り返すなど3勝5敗、防御率4・12で終了した。右打者への死球の多さからネット上では“イップス疑惑”までささやかれたが、来季は絶対に立ち直るつもりだ。

 球団側も「何とか復活してほしい…」と祈っている。来季、藤浪が本来の成績を残すか否かはチーム成績にも直結するから当然だが、理由はそれだけではない。元中日監督の落合博満氏(63)が1日放送のMBS「戦え! スポーツ内閣」の番組内で「精神論は言いたくないけど、ボールが抜けるとかコントロールが悪いとか分かっていること。みんなで藤浪をやっつけ過ぎ」と“悩める右腕”を擁護。他球団の大物OBからの指摘とあって、ある球団幹部は「それだけ藤浪の動向が注目されているということだが、これで来年復活できずに今年のような状況ならば『やっぱり阪神は…』と球団としての育成能力を問われてしまいかねない。何としても藤浪には復活してもらわないといけない」と神経をとがらせているのだ。

 振り返ればシーズン中にも広島の大物OBで200勝投手の北別府学氏(60)が自身のブログで「この苦境を乗り越えて新しいステージに進んでほしい」とエールを送るなど藤浪が復活するかどうかは球界中の関心事となっていた。それだけに藤浪の浮沈は球団の威信に関わってくるというわけ。

 落合氏らの発言に藤浪は「ちょっとでも見てくださっていることは光栄です。頑張るしかない」と気持ちを奮い立たせている。球団の名誉を守るためにも何が何でも完全復活するしかない。