ソフトバンク・工藤公康監督(54)が2年ぶりの日本一奪回にうれし涙を流した。

 3勝2敗と王手をかけた日本シリーズ第6戦、2―3の9回に主将で4番の内川が起死回生の同点ソロを放つと、延長11回に川島のサヨナラ打で激闘を制した。

 歓喜の胴上げで8度宙に舞った指揮官は「もう泣かないと決めていたが、一瞬にして苦しかったことがよみがえってきた」と薄氷勝利で決めた日本一に、涙をこらえ切れなかった。

 優勝監督インタビューでは“珍事”も発生した。インタビュー中に突然「キャプテン!」と内川をベンチから呼び寄せ「最高の男です!」と絶叫し背番号1をたたえたのだ。指揮官の興奮が最高潮に達した異例の“呼び出しお立ち台”に本拠地・ヤフオクドームは大いに沸いた。

 また、王貞治球団会長は「こんなに胸が熱くなったのは久しぶり。選手の涙を見ていたら、ついもらい泣きをしてしまった。涙が出るシリーズは初めて」と興奮気味にチームをたたえた。

 3連勝の後に連敗を喫し、この日もリードを許しながら土壇場の9回に追いつき、延長の末に激闘を制した。「楽勝と思われていたが、こういう(苦しい)戦いになって思い出に残る、球史に残る戦いになった」と話した。