日本シリーズ第4戦が1日、横浜スタジアムで行われ、DeNAが6―0でソフトバンクに快勝。対戦成績を1勝3敗とした。
【前田幸長 直球勝負】ベイスターズ打線の波状攻撃は見事だった。この試合で先制ソロを含む3安打2打点の宮崎については、第3戦の試合前にラミレス監督に「今年はなぜ首位打者を取れるぐらいにまで急成長したのか?」と聞いた。
ラミレス監督の答えはこうだ。
「インサイドのボールを打つのはもともとうまかった。ただ、これまでの宮崎はそのインサイドのボールに対し、無理にバットを内側から出そうとしてセンター方向に打つことを心がけていた。そうではなく私は『インサイドは引っ張れ』と言ったんだ。そして『外寄りのボールはライト側の逆方向へ打て』とも意識付けさせたんだよ」
日本の野球の打撃指導は「ボールの内側を叩き、センター方向へ打て」というのが主流。だが、宮崎はそれを意識しすぎて窮屈なフォームになっていたのだろう。そんな“先入観”をラミレス監督はリセット。今季の首位打者獲得はもちろん、この日の左翼への一発はそんな指揮官の助言から生まれたものだった。
一方、もう一人の打のヒーローが、1本塁打を含む3安打3打点の高城。守ってもシリーズ初の先発マスクをかぶり、ルーキー・浜口の素晴らしい快投を引き出した。
ちょうど、この第4戦の試合前、高城は私にこう言っていた。
「今日は“ゴールキーパー”で頑張ります。(浜口は)真っすぐでもショートバウンドとかじゃなく、ベースの手前でバンバン落としながら平気で投げてくるんで!」
試合では初回に暴投が1つあったが、それ以外ではワンバウンドを止めまくった。5回の振り逃げは、ワンバウンドを止めて前に転がったボールを握り損ねてのもの。本人は試合後、その2つを指して「2個進塁させてしまいました。すみません…」と謝っていたが、捕手が絶対に止めてくれると信じていれば、投手は思い切って腕を振ることができるというものだ。
まだ1勝3敗。ソフトバンク有利に変わりはない。しかしベイスターズの選手たちのプレーには「奇跡」を起こそうと、必死に食らいつく姿勢を感じた。