パ・リーグのクライマックスシリーズ第2戦(ヤフオク)は、シーズン3位の楽天が王者・ソフトバンクを2―1で下し、開幕から2連勝。対戦成績で2勝1敗(アドバンテージ含む)と優位に立った。

前田幸長 直球勝負】ソフトバンクの先発マウンドに立った千賀は、決して絶好調モードではなかった。いわゆる“キレキレ”の時は相手をねじ伏せる投球が真骨頂。この日はボール先行の場面が目立って制球が思い通りにいかず、マウンド上で何度か顔をしかめていた“らしくない”様子が気になった。

 4回一死から島内に左翼へ二塁打を浴びた直後のシーン。続くアマダーに3球目のカーブが外角高めに外れて3ボールにすると、眉間にしわを寄せた。その後はフルカウントとし、内角直球で詰まらせて遊ゴロに仕留めたが、投球の組み立てに苦しむ千賀に対し、何となく嫌な予感を覚えたのは私だけではなく一塁側ベンチも同感だったと思う。

 粘りながら初回の1失点のみに抑えていた千賀は、7回一死二塁から嶋に内角やや低めの直球を左中間に二塁打され勝ち越された。いつものように直球、フォークに加えて投球のレパートリーとして多投されるはずのスライダーがこの日は鳴りを潜めていた。好調のバロメーターの一つとなるスライダーが要所で駆使できなければ、投球はどうしても苦しくなる。チームがCSファイナルSの初戦を落とし、是が非でも負けられないという重圧があったのかもしれない。工藤監督は、この千賀を以前から“強化指定選手”の一人として育て、見事に球界を代表する本格派投手になった。だが指揮官としては「もっと成長してもらわなければ困る」というのが本音だろう。その工藤監督は千賀について私に「いつも目を光らせて管理している」とも言っていた。この大舞台での悔しさを胸に今後精進してほしい。