由伸監督よ 見せてくれ「ウルフの本性」

2017年10月12日 11時00分

サヨナラ本塁打を放った亀井(右)をねぎらう由伸監督

【巨人に明日はあるか】巨人は今季、屈辱の11年ぶりとなるBクラスでシーズンを終えた。歯車はどこで狂ったのか。来季以降の巻き返しに期待はできるのか。様々な角度から検証し、名門再建への道を探ってきた本紙緊急連載「巨人に明日はあるか」も、いよいよ大詰め。最終回は指揮官・高橋由伸監督(42)にメスを入れた。

 来季、勝負の3年目を迎える由伸巨人の一軍コーチ陣容が10日、ようやく固まった。参謀役の村田真一ヘッドコーチ(53)は留任となり、新たにバッテリー担当も兼務。原政権下でコーチを務めたOBの吉村禎章氏(54)が、打撃総合コーチとして6年ぶりに現場復帰し、江藤打撃コーチは二軍へ。留任の二岡コーチ、二軍から昇格の小関コーチを加えて打撃部門は新たに3人体制となった。

 鹿取GMは去就が注目されていた村田真ヘッドコーチ留任の理由について「13連敗以降、今の体制で盛り上げて挽回して、一応3位争いまできたので、その辺は評価している」と説明。二、三軍のコーチ人事については、決定次第発表するとした。また、新体制での指導は来月1日からスタートする。

 では、これで巻き返しを図る態勢が整ったのかといえば…。来季も苦戦は必至ではないか。チームは過渡期。阿部、内海らベテランに上積みはもう期待できない。前回までに述べたように、補強には限界があり、ファームの現状を見ても、ただちに王者・広島との差が埋まる戦力を整えられるとは思えない。本気でドラフトに取り組んだとして、成果が表れるのは数年先だ。そんな状況でなお、常勝の看板を背負わされる由伸監督はたまったものじゃない。就任直後から野球賭博問題に始まる数々の騒動にも足を引っ張られ、気が付けば慶大野球部の先輩で、後ろ盾だった堤前GMまでチームを去った。覚悟の上とはいえ、拾った火中の栗は、今も手中で燃え続けている。誤解を恐れず言えば、来季も巨人は優勝を逃す可能性が高い。だが“負け戦”でこそ築ける未来もある。

 由伸監督は優しい。「結果がすべて」が口癖だが、選手個人のプライドや実績を重んじる。若手にチャンスは与えるが、一方でベテランを切り捨てたりはしない。時に周囲から「頑固」と言われようと、これと決めた選手は動かさず使い続ける。だからこそ、小林の本塁打に対するリアクションや、涙のサヨナラ弾を放った亀井を受け止めた笑顔が絵になった。

 しかし、そうした“優しさ”はもう十分示した。来季結果を残せなければ、責任を問われるのは自分なのだ。選手だけでなく、フロントやコーチ陣に対する必要以上の気遣いも、もう無用ではないか。

 クールでスマートな面は由伸監督の大きな魅力だ。だが近くで接していればいるほど、時に見せる激情にこそ、青年監督の本質を感じる。おそらくはファンが待ち望んでいるのも、そんな“ウルフ”の本性ではないか。ベンチのすべてを背負い、相手に牙をむく姿を来季は見たい。