いびつな補強戦略 失われた10年取り戻せ!

2017年10月11日 11時00分

左の長距離砲は阿部だけ

巨人に明日はあるか】前回は清宮指名の是非に触れた。では今の巨人を見渡して、他にはどんな人材が必要なのか。

 新陳代謝の進まない現在のいびつなチーム編成は、初代GMの清武氏と2代目の原沢氏が主導した約10年間のドラフトが招いたと断じる。清武氏は「育成の巨人」を掲げ、現在の三軍につながる基礎を築いた。だがそこに目をとらわれ、特に下位指名の支配下ドラフトで失敗を重ねた。もっと悲惨だったのは、原沢氏の3年間。戦力外通告、大型トレードを嫌ってドラフト指名人数を絞った一方、現場の要求をのんでFA補強を進め、人的補償で若手の流出が続いた。

 堤前GM体制になって指名人数こそ増やしたが、一昨年は野球賭博問題が直撃。球団がドラフトに本腰を入れ始めたのは昨年からと言っていい。年末から岡崎氏がスカウト部長に就任して新たなスカウト体制が発足したが“失われた10年”の遅れを取り戻すには、この先数年かかるだろう。

 では鹿取新GM、岡崎スカウト部長の手腕が試される今ドラフトはどうなるか。ここまでの引退選手と大胆な戦力外通告から「ドラフト重視」の明確な意思は見える。投手は毎年一定数必要だが、ポイントは内海、杉内、山口鉄、森福らに代わる可能性を秘めた左腕だろう。走れるだけではなく長打も期待できる野手、小林や宇佐見に続く捕手獲りにも動くはずだ。スカウト陣は「7人前後」の支配下指名を予定する。

 ドラフトで長期的視野に立った血の入れ替えを進める以上、他の補強は必要最低限にとどめることが肝心だ。シーズンを振り返って明らかに足りなかったのは、長距離砲と日本人リリーフ。球団はゲレーロ(中日)、バレンティン(ヤクルト)の調査を進めているが、打線編成上は本来、左打者のほうがベターだ。両選手を巡るマネーゲームが過熱するようなら、海外に目を向けてもいい。

 また今季はマイコラス、マシソン、カミネロに外国人枠を割き、野手はマギーしか使えなかった。ブルペンに計算できる日本人投手を置ければ、助っ人野手2人体制を敷ける。打線が今より厚みを増せば、吉川尚、岡本ら若手を思い切って使える場面も増えるだろう。

 そうなるとFA動向を注視している西武・牧田が獲れればベストだが、不調に終わる可能性もある。その場合は先発組からのコンバートも柔軟に検討すべきだろう。“はり治療問題”の澤村が使えるのか、処分明けの山口俊をどう扱うかも肝だ。澤村はともかく、山口俊はすでに社会的、金銭的に制裁を受けている。復帰の場を与えることが難しければ、トレードを検討するのも球団の仕事だろう。

 次回、最後のテーマは首脳陣。勝負の3年目を迎える由伸監督は、苦しむチームを浮上させられるのか。