本紙評論家・伊勢孝夫氏が占う ヤクルト・宮本新ヘッドへの期待と不安

2017年10月07日 14時00分

宮本(左)と話す伊勢コーチ(2010年)

 来季は小川淳司監督(60)のもと、再スタートを切るヤクルトが6日、来季のヘッドコーチに球団OBの宮本慎也氏(46)が就任すると発表した。宮本氏は「これだけ勝てなくなったチームを目の当たりにして、何とかしたいという気持ちしかない」とコメントしたが、今季球団ワーストの96敗を喫して最下位に沈んだチームをどう再建するのか。そして2年後は…。ヤクルトOBで本紙評論家の伊勢孝夫氏が、新ヘッドへの「期待と不安」を明かした。

 慎也がようやく復帰か。これから小川とチームを立て直していくことになるが、まあ時間はかかるわな。もちろん一軍も大事だが、このチームはもっとファームに力を入れたほうがいいと思っている。

 今の二軍は慢性的な人数不足で競争の場になっていない。誰でも試合に出られるのだから、緊張感があるわけもなく、選手が切磋琢磨する環境ではないのが現状や。

 ただ、小川にはこれまで編成のトップ(シニアディレクター)として、そういうチームを作ってしまった責任がある。その責任を持って環境を整備し、とにかく若い選手を鍛えること。小川は2年契約ということのようやが、この2年で、とにかく一軍で戦えるレベルの選手を一人でも多く鍛え上げて、いかにいい形で慎也にバトンを渡せるか。そういう覚悟で地道にやっていくしかない。

 慎也が気をつけなければならないことは何か。この2年はとにかく修行。「がまん」が大事だということを肝に銘じていてほしい。もちろん慎也は野球をよく知っているし、戦術などよく勉強もしている。昔から言っていることはほとんど正論だし、間違っていることは何も言っていない。

 だが、感情的になったり、自分の立場を超えて物を言ってしまうと、それがいかに正論だとしても、大きな問題となってしまう。プレーに対してはとことん厳しくていい。ただ、チームとして戦うためには、時として「がまん」も必要。そうしたがまんが2年後、監督になったときに生きてくるやろう。

 監督の小川は慎也の担当スカウトで、慎也が2000安打を達成したシーズンは、積極的に起用してくれた恩人でもある。そして小川は、言いたいことがあっても腹の中にぐっとため込むことのできる温厚な男だ。そんな小川が、監督として苦しみ悩んでいる姿を慎也は間近で見て、勉強させてもらえばいい。

 慎也は現役時代から一匹狼タイプで、誰かとべったりくっついたりするわけでもなかったから「人脈がない」「若い選手が怖がって寄りつかない」なんて言われているようだが、グラウンドから一歩離れれば、あいつほど気さくでいい男もいない。時にはそういう一面も、選手たちに見せてやればいい。

 あれほど研究熱心な男なんやから…。慎也は絶対に成功する。きっと素晴らしい指導者になると思うよ。