元広島・廣瀬純氏「巨人・阿部も認めた岡田明丈の剛球!しかし私生活は…」

2017年10月07日 11時00分

剛球と強心臓で12勝をマークした岡田明丈

【始まりの鐘が鳴る~カープ日本一への道~廣瀬純】一見するととぼけた印象も、仕事になると目つきが変わる人。周囲にいませんか? 広島でそんな選手を挙げるとすれば岡田明丈投手(23)でしょう。

 初めて会ったのは2016年1月。僕が自主トレで広島の室内練習場を訪れた時です。他の新人とともに合同自主トレに参加していた岡田があいさつにやってきました。彼は15年のドラフト1位投手。大卒のドラ1なら威圧感やオーラがあるものですが、彼からそんな威厳はみじんも感じられませんでした。それどころか、闘争心もなく終始ニコニコするばかり。その表情を見た僕は思わず「お前、ウーパールーパーみたいだな」と笑ってしまったほど。野球選手とは思えない顔つきに、「彼はプロでやっていけるのかな」と本気で思いました。

 ところが、心配は無用でした。岡田は一度マウンドに立つと、闘争心に火が付くのです。物おじしない度胸が顔をのぞかせ、相手強打者に対してもちゅうちょなく内角に投げ込むこともできる。普段の顔つきからは想像もつかない投球で相手をねじ伏せる。これが彼の「持ち味」なのです。 

 今季大ブレークできた要因は150キロを超える直球の“質”にも秘密があります。彼のストレートは球速もさることながら、球質が重い。先日、慎之助(阿部=巨人)と話をしましたが、「彼(岡田)の直球はバッターの手前まで沈まず最後にドスンと来る。球が強い」と球質を説明してくれました。岡田の直球には広島の正捕手・石原ですらミットが押される。そんな武器を持つ右腕ですから、今季チーム2位の12勝を挙げたのは決してフロックではありません。今後は球界を代表する剛腕投手に成長することは確実です。

 ただ、岡田にも気がかりなことがあります。チーム内で“宇宙人”とやゆされる天然ぶりです。

 僕が知る限りでは昨年、東京遠征から本拠地に戻る新幹線で爆睡。そのまま小倉まで乗り過ごし、試合に遅刻しそうになったことがありました。試合前練習には球場に到着したものの、周囲への謝罪はなし。それどころか、何もなかったかのように練習の輪に参加しようとしたため、首脳陣やチームメートらが激怒。「みんな心配してたんだぞ!」と問いただしましたが、本人は平然と笑みを浮かべ続けていました。物おじしないのはいいことですが、あまりのマイペースぶり。いかがなものか。

 最近ではチーム内でも「精神がずぶと過ぎる。前にも増して心臓が強くなり過ぎている」との声も上がる岡田。プロ野球選手、特に投手としてこの性格はいいのでしょうが、周りの人間は正直…あきれています(笑い)。

 ☆ひろせ・じゅん 1979年3月29日生まれ。大分県出身。佐伯鶴城高―法大。大学時代の2000年にシドニー五輪野球日本代表を経て、同年ドラフト逆指名で広島入団。強肩の外野手として活躍。10年に打率3割、ゴールデン・グラブ賞を受賞。13年にはプロ野球新記録の15打席連続出塁をマークした。16年に現役引退。17年から中国放送(RCC)の野球解説者として活躍中。通算成績は978試合で打率2割7分3厘、51本塁打、253打点。右投げ右打ち。

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