今季限りで退任する阪神・掛布雅之二軍監督(62)が28日、ウエスタン最終戦となった広島戦(甲子園)でラスト采配。たった2年で終わった縦じまユニホームに別れを告げた。

 この日も背番号31を見納めようと前日からの徹夜組を含む7131人のファンがスタンドに集結。試合は“悩める右腕”藤浪がMAX155キロの真っすぐを武器に5回1失点と力投すれば、打線も爆発し、今季最多得点の16—4と見事なフィナーレを飾った。

 世代交代と2年契約の任期満了による今回の退任劇。一方でその原因には選手の自主性を重んじる指導型の掛布監督と全体スパルタ主義の金本監督との「野球観の違い」が取りざたされているが、試合終了後にあいさつに立った掛布監督は「2年間の感想? ちょっと短かったかな」といきなり本音をポロリ。そして「若い選手は確実に力をつけてきている。非常に濃い2年間だった。上からの目線で指導するのではなく、選手と同じ目線で同じ汗をかいてやってきた。ちょっとやさしい監督だったのかもしれません」など“意味深”な発言を展開した。熱狂的な掛布ファンに対しては「私はここで一度ユニホームを脱ぎますけど、今後は一軍の野球に注目してもらえたら。熱い声援を送ってほしい」。“一度”というセリフが想像力をかき立ててしまう。

 その後は選手全員がベンチを飛び出して掛布監督を胴上げしようと何度も試みたが、本人は「胴上げは優勝とか現役引退したときなどでするもの。自分はその立場ではない」と拒否。最後まで“ミスタータイガース”としての美学を貫いた。監督業は終わるが、今後は総帥・坂井オーナーをバックアップするフロントの要職に就くことが決定している。